海外旅行と腕時計の上手な付き合い方――航空ジャーナリスト・秋本俊二の場合(1/2 ページ)

» 2010年11月25日 14時23分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]
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 10月から「秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」を連載中の秋本俊二氏。航空ジャーナリストという肩書きを持つ秋本氏だけあって、文字どおり世界中を飛び回っている。

 海外旅行では、ともすれば半日近い時間を機内で過ごすことになる。「この時間を有効活用すると、旅行そのものも楽しくなる」という秋本氏のノウハウとは?

成田の出国ゲートをくぐると、そこはもう日本じゃない

秋本俊二氏 秋本俊二氏

 普通のジャーナリストだったわたしが、「エアラインだったら応援したいな」と思った理由、それは「旅、特に海外旅行というものは楽しいけれど、現地に着かないと旅が始まらないと思っている人がたくさんいる(のが惜しい)」と思ったからです。

 旅の取材というのは短期決戦。現地にいるのはせいぜい5日とか1週間で、その中でいかに人と出会って、濃い体験をして、感動を内に秘めて帰ってくるか、それがものを書くことの原動力になります。

 取材先で神経を研ぎ澄ませて、感動したり、疑問を抱いたりするためには、現地の時間に早くから体を慣らしておかなくてはならない。海外旅行でも同じだと思います。そうすると、「時間」との付き合い方というものはとっても大事なものになるんですよ。

 飛行機に乗っていると、目的地に到着する直前に機内アナウンスで「現地時間は何時何分です。お客さまの時計を何時間お戻しください」なんて流れますよね。良いサービスだと思いますが、わたしにいわせればそれじゃ遅い。到着する直前に時計を合わせても遅いんですよ。そこから現地の時間に体を合わせ始めても、慣れてきたときには旅が終わってしまう。

 だから、成田の出国ゲートをくぐった瞬間に、時計を現地時間に合わせることを習慣にするのがいいと思います。そこは「みなし外国」となって、もう日本じゃないですからね。海外旅行に行くのは多くても年に数回程度だと思いますが、機内にいる時間を合計すると丸1日に近い時間になりませんか。そこを何もせず、じっと耐えてるだけの時間にしてしまうのはもったいない。

腕時計というものは欠かせない小道具なんだなあ

 空港や機内というのは、人間の交差点だと思うんです。いろんな国の人が空港に降り立って、出会って、そして別れていくというドラマがたくさんあふれている場所なんです。

 その入り口にこそ、旅の変化はいっぱい詰まっています。海外の旅ってもともと人とか文化に触れることだから、「それをもっと楽しもうよ」ということを発信したくて航空会社や旅そのものを取材しているうちに、「これは面白い」と思ってくれる読者が増えてきたんです。

 旅に出て、「景色がいい、どこのレストランの何がおいしかった」という記事を書いたとしても、そこに人がいなければ感動は伝わらない。その意味では、旅をテーマに書くのでも、航空ビジネスをテーマに書くのでも、それは人を書くということ以外にない。いまでこそ航空ジャーナリストという肩書きが付きますが、スタートはここでした。

 それには、「腕時計というものは欠かせない小道具なんだなあ」と、ある時期から気が付き始めたんですよ。時間というのは無意識のうちに人を縛るものなんです。だから、現地時間に時計を合わせるのが出発の2日も前みたいに早過ぎてもダメ。そうすると、日本時間が分からなくなって飛行機に乗り遅れてしまったりするんですよ(笑)

秋本俊二氏 秋本俊二氏の相棒、G-SHOCK「The G」

 いま使っている腕時計は、カシオ計算機のG-SHOCK「The G(GW-1210J)」。5年前に購入して以来、北から南まで20カ国くらい一緒に旅したでしょうか。まさに戦友というか、相棒ですよね。これとノートPCだけが必須アイテムで、この2つさえあれば、ほかは何とでもなります。

 このG-SHOCKは、世界時計に対応しているので、目的地に合わせてボタンをポンッと押せば、針がクルクルッとまわって自動的に現地時間に合ってくれる。とても簡単でいい。電波時計なので1日に1回は自動的に時刻を修正してくれるし、ソーラー充電だし、壊れないし。

 アナログ表示の時計を選んだ理由は、時間に関してはデジタル表示がピンとこないからなんです。アナログならば、視野に入ってさえいれば何となく時間が分かりますからね。デジタルだと数字を読まないといけない。

 わたしは日本人なので、体内時計は当然日本時間。これを現地時間に合わせるには、視界の中に現地時間を指している腕時計があるということが重要なんです。意識的に見なくても、チラッとでも視界に入っていれば、それが脳に伝達されて、体にフィードバックされる。

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