海外旅行と腕時計の上手な付き合い方――航空ジャーナリスト・秋本俊二の場合(2/2 ページ)

» 2010年11月25日 14時23分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]
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身体、感性を現地のライフサイクルに対応させよ

秋本俊二氏 近日公開予定の連載第3回ではタイ国際航空で南アフリカへ

 現地に行ったら、現地の時間に徹しなければもったいないですよ。わたしのような1秒も無駄にできない短期の取材、読者の場合は海外旅行でしょうか。さまざまな体験や経験をすると思いますが、それを受ける身体、感性が現地のライフサイクルに対応できているかどうかで、得られる情報の密度が全然違ってきます。

 現地で誰かと知り合っても、ボーッとしていると情報を素通りして帰ってくることになります。帰国してから、「そういえば、あの人はあんなことをいっていたな。あ、何でこういうことを聞かなかったんだろう」と後悔することになる。

 現地の人が到着後のランチに招待してくれるということになれば、それは飛行機の中から“ランチを一番楽しめる”体にしておかないと、話が弾まない。繰り返しになりますが、例えば、機内で午前8時を指している時計が目に入ると、「あと4時間もすれば、現地ではランチタイムだな」と思うわけです。そうすると、人間の体というのは、それに何となく合わせようとする。

 欧州のランチミーティングというのは、2時間も3時間もかけるものです。みんながおいしく食べているのに、1人だけはしが進んでいないとなると、「どうしたんだ、おいしくないのか?」「具合でも悪いのか?」と心配させてしまう。逆に「おいしいね、いいワインだね」と盛り上がれれば、入ってくる情報量も全然異なってくるものです。

 そのためには、見える位置の時計が現地の時間を指しているということがとっても大事なんですよ。時間に縛られるというのはあまりいいことではないかもしれないですが、無意識に刷り込むというのが重要な要素なんです。

 ここでもう1つ重要なのは、小窓には日本時間を表示しておくこと。現地から日本に電話をかけるときには気を付けなければいけないし。でも気にし過ぎるのもよくない。

 例えば、5〜6人のジャーナリストが日本から招かれるような取材の場合、1人ぐらいは現地でも日本時間ばかりを気にしている人がいる。おいしいランチを食べているのに「日本じゃ夜中だよねえ、お腹なんかすかないよね」とかいわれるとね、腹が立ってくる(笑)

 ちなみに、時計を日本時間に戻すのは、現地の出国ゲートを出た瞬間です。帰国したらすぐに戦闘モードに切り替えて、原稿をまとめなければいけませんからね。

著者プロフィール:秋本俊二

著者近影 著者近影(米国シアトル・ボーイング社にて)

 作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。

 著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

 Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。


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