社長命令は「サバイバルしてこい!」――あなたならどうする?松田雅央の時事日想(4/4 ページ)

» 2010年12月02日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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人を知り文化を知る

 ただし、B社社長が求める「サバイバル」とは例に挙げたような危機対応能力に限らない。一般的なサバイバルの範囲からは外れるが、社会習慣やメンタリティーを知り、社会に溶け込むことも含まれるはずだ。2カ月程度の短期研修でそこまで求めるのは無理な話だが、国際的な視野を持った企業トップなら必ずそのことを念頭においている。

 11月27日付けのasahi.comに「若い商社マンは海を渡れ 海外研修の充実、大手が競う(関連リンク)」という記事が掲載されていた。グローバル人材を育成するため若手社員を3カ月から1年ほど海外研修に出すという話で、本来なら商社だけでなく海外展開するすべての企業に必要なプログラムだと思う。言語習得はもちろん生活習慣や商習慣を知り、さらには日本の文化紹介を通した社会貢献など、受け身ではなく自ら海外社会にアクセスしていく積極性も求められる。

 前述のAさんは今回の研修に先立ち、何度か社内プレゼンテーションをこなしてきた。直属の上司から社長を前にしたものまで数回行なったそうだが、直属の上司からは「海外の情報がこれだけ自由に手に入る時代なのに、なぜ行かなければならないのか?」と、ずいぶん否定的な扱いをされ、視察内容についても事細かな注文を受けたそうだ。率直に書かせてもらえば、海外の事情や海外との付き合い方を知らない管理職にありがちな近視眼的な対応に思える。

 それに対し、上に行くほど「どのような姿勢で研修に臨むのか」という部分に焦点が当てられ、細かい知識を得ることではなく会社の将来のため「自分を磨くこと」を求められたという。それを象徴する言葉が社長の「サバイバルしてきなさい!」なのである。

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