消費者金融が、“イジメ”られている理由ちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(4)(1/4 ページ)

» 2010年12月14日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 2010年6月に「改正貸金業法」が施行された。上限金利が引き下げられたり、貸出総額が年収の3分の1までとなったり、消費者金融は「貸しにくい」状況に追い込まれた。逆に消費者にとっては「借りにくく」なってしまった。

 「急にお金が必要になった。しかしお金がない」――。このような経験をしたことがある人も少なくないだろうが、なぜ“借りにくく、貸しにくい”法律が施行されたのだろうか。この問題について、正体を明かさないブロガー・ちきりんさんと公認会計士の磯崎哲也さんが語り合った。

磯崎哲也(いそざき・てつや)さんのプロフィール

1984年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。長銀総合研究所で、経営戦略・新規事業・システムなどの経営コンサルタント、インターネット産業のアナリストとして勤務。その後、1998年カブドットコム証券株式会社の社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役、中央大学法科大学院兼任講師などを歴任。現在、磯崎哲也事務所代表。公認会計士、システム監査技術者、公認金融監査人。

著書に『起業のファイナンス』(日本実業出版社)がある。ブログ:isologue、Twitterアカウント:@isologue


米国と日本は真逆のシステム

ちきりんさん

ちきりん:ちきりんブログで貸金業法の改正に肯定的なエントリを書きました(関連リンク)。私は基本的には市場原理でいくべきと思っています。市場原理がベストな仕組みとは言えませんが、いまのところこれ以上の仕組みはないとも思っています。

 ただ市場原理は、世の中の9割の人に適用すべきルールだと考えています。逆に言うと、1割ほどの市場原理に巻き込むべきではない弱者がいることも確かだと思うんです。例えば判断能力が衰えている高齢者であったり、学ぶ機会がなかったためお金の問題をどのように処理していいのか分からない人であったり。日本は能力の高い人が市場原理から規制で守られていて、反対に弱者を市場原理に巻き込んで「自己責任」といって突き放すようなところがあります。話が逆転しているんじゃないかと。

 例えば米国の大学を見てみると、トップレベルは私立が多いですよね。学費が高いので、学生は銀行からお金を借りて進学します。教授も給与は高いのですが、ダメだとすぐに追い出される。研究資金も自分たちで集めなければいけません。教育も市場原則の中にあるわけですよ。

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