ニホン人が、借金の恐さを知らないワケちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(6)(2/4 ページ)

» 2010年12月21日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ちきりんさん

磯崎:漫画だと、必ず債権者が「どないしてくれるんじゃい!」と乗り込んで来ますよね。あれは、経営者が約束を破っているから怒っているわけです。約束を破ったり卑劣なことをしたりした経営者は、信用を失って誰からも相手にされなくなっても、これは仕方がないことですよね。

 もちろん誠実にがんばったのに、やむを得ない理由で債務超過に陥ったケースも多いと思います。しかし、なぜこうしたことが起きているのかを考えていくと、その根本は「資金調達の方法」にあることが多いんじゃないかと思うわけです。

 借金や買掛金といった「負債」は、「いつまでに返します」「払います」と約束をしたお金です。一方、株式で調達したお金というのは「資本=会社の元手」ですから返済期限はない。株式というのは「出資者みんなでリスクを分担して、失敗したら、その失敗はみんなでかぶろうよ」というお金の調達方法です。だからリスクがある事業ほど、株式(資本)で調達する比率を増やさないといけないはずなんです。

 しかし、日本は起業というと、借金でするものと思い込んでいる。お金を借りるということの恐さ、約束どおり返済するということの大事さを分かっていない人が多いんですよ。

ちきりん:私もそう思います。ベンチャー企業があまり売り上げもないころに、必要以上のお金を借りると大変ですよね。また資本構成を最初にきちんと考えておかないと。投資家からアプローチされると嬉しくて簡単に株を売ってしまう人がいますが、一度売ってしまうとなかなか買い戻すことはできない。また磯崎さんの本にもありましたが、お金で判断してくれる投資家はある意味ラクで、お金以外で判断する投資家が入ってしまうと、ものすごく大変ですよね。

磯崎:その通りですね。

イケてる起業家はどこかにいる

磯崎:イケてる起業家はどこかに必ずいるんですよ。探せば。しかしこれまでは、そのイケてる人を探す手法がなかった。「たぶん東京にいるだろう」「渋谷にはITに詳しい人がいるだろう」といった次元の話しかできなかった。

 しかしTwitterやmixi、Facebookなどのソーシャルネットワークを使えば、昔より格段にイケてる起業家を探せる可能性は高まっていると思います。

 彼らは情報を仕入れようとして、ソーシャルグラフ(SNS上での友達の輪)上、成功している起業家や起業に関わる話をしている人の「そば」にいるはずです。Twitterならフォローしてるとか、Facebookなら友達になっているとか。漠然と「渋谷区にいるかも」という話ではなく、ソーシャルグラフをたどっていくと、イケてる起業家予備軍を見つけやすいのではないでしょうか。

 逆に、情報を仕入れたい人もイケてるソーシャルグラフをたどってイケてる人たちの言動を見聞きすると、成功する姿をイメージしやすいのでは。これがネットバブルと言われた2000年ころと、今の時代の決定的な違いの一つだと思いますね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.