ニホン人が、借金の恐さを知らないワケちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(6)(3/4 ページ)

» 2010年12月21日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ALT 『起業のファイナンス』(日本実業出版社)

ちきりん:なるほど。あと、この国には「起業家はうさんくさい」というイメージがあると感じます。むしろ「そういうイメージを広げたい人がいる」というか。ネットバブルのころの狂騒や起業家のスキャンダルなどは、そういう人たちに利用されている部分もあると思うんです。

 実際には、昔の松下幸之助さんや本田宗一郎さん、最近の60歳前後ではユニクロの柳井正さんやソフトバンクの孫正義さん、もう少し若くなると楽天の三木谷さんなど、日本では連続してすばらしい起業家がでてきていますよね。そしてこれからも若い人からどんどんいい人が出てくると思います。しかしその一方で「大企業に就職するのが正しい生き方で、起業家にはうさんくさい人がたくさんいる」といったイメージを作り上げたいという勢力があるのではないでしょうか。

 そうなると、良い子に育ってきた人たちは、起業家への道に進むことにちゅうちょするかもしれません。「まっとうなところではないので、恐い」と感じてしまいます。

 理想を言えばどちらがいい悪いではなく、個人の適性や興味に合わせて「自分は大企業で働くことに向いている」「いや自分は企業を起こすことに魅力を感じる」――というように、自分の道を選ぶ人が増えてくればいいですよね。

磯崎:周囲にイケてる人がいて、彼らから刺激を受けていけば、刺激の閾値(いきち:ある反応を起こさせる、最低の刺激量)を超えると思います。1998年くらいのときに渋谷で、とある飲み会があったんですよ。そこに当時は名もない学生や起業家たちが集まっていて、いろいろなテーマについて語り合いました。その学生や起業家たちの中に、今ではベンチャー界でものすごく活躍されている方々がたくさんいます。当時の飲み会は狭い空間で行われていましたが、今はインターネットを使ってたくさんの人が刺激し合い、飲み会で集まったり、そのときの情報をネットで発信したりしているのではないでしょうか。

 日本経済は今、調子がいいとは全く言えないと思いますが、イケてる起業家から発せられた中性子がポツン・ポツンと飛んでいます。そういう中性子がもう少し増えると、それを受けた人がまた中性子を放出して、という連鎖反応が始まるんじゃないかと思います。

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