“ANB48”も投入、百貨店はコンビニ・ネットから顧客を取り戻せるか?(2/2 ページ)

» 2010年12月29日 08時00分 公開
[猪口真,INSIGHT NOW!]
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中高年のハートをつかむコンビニ

 そんな中、かつての百貨店の中心顧客だった、中高年の財布をがっちりとつかんでいるのはコンビニだ。百貨店とは一見真逆の流通形態だが、中高年顧客が増えているのは明らかにコンビニだ。

 セブン−イレブンに行けば、小分けした惣菜や食品が並ぶ。夫婦2人で暮らす人たちにとっては手ごろや量と良質さは、たとえ価格が少し張ろうが、利便性は高い。さらに最近は、より高級感を持ったPB商品として「セブンプレミアムゴールド」がお目見えしている。ハンバーグやビーフシチューなど、これまでのコンビニではまったく考えられなかった商品開発だ。これら以外にもお店の工夫が随所に仕込まれている。

 中高年といえば「健康」志向だが、この健康に着目しているのがローソン。8月に、調剤薬局を併設した店舗をいくつかオープンした。いつも寄る店舗に調剤薬局が併設しているだけで便利だし、薬のついで買い効果も少なくないだろう、一般医薬品の販売においても、マツモトキヨシと提携し、出店している。

 ファミリーマートには「おとなコンビニ研究所」という中高年のライフスタイルを研究し、積極的な商品提案を行っていく組織が設立されている。所長に残間里江子氏を起用し。中高年の新たなライフスタイルを創造し提案していくという。

 同社としても、客単価も高く、ふところ具合も豊かである中高年の顧客比率を積極的に高めていきたい戦略なのだろう。CMにもそうした戦略は表れており、完全にかつてのコンビニのイメージとは異なる訴求だ。

 これらを見ても分かるように、コンビニは生活に密着し、より良質で便利な生活提案をし続けている。決して催事やイベント、セールによって売り上げを伸ばそうとしているのではない。従来なら、前述したように百貨店がそうした役割を担っていたのだが、どうやらそうした立場は逆転し、むしろ百貨店が催事やイベント、一瞬のトレンドの取り込みに精を出す。

 少なくとも私が百貨店でものを購入することは、違うところに意味がある。今秋リニューアルされた、銀座三越のレストランフロア「GINZA DINING」が評価されるのは、関東ではなかなか味わうことのできなかった「食スタイル」の提案ゆえだ。安売りの外資小売店と一緒に集客にいそしむのもいいが、百貨店から商品を購入するという意味を今一度作り上げてほしいと望むのは私だけではないだろう。(猪口真)

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