スマートフォン、食べるラー油、〜なう――ビジネスパーソン1000人が選んだ「2010年のトレンド」誠トレンド格付2010(2/3 ページ)

» 2010年12月31日 10時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

「食べるラー油」が長期ヒットした理由

 2位には「食べるラー油」が入りました。S&Bの商品は潤沢に流通していますが、桃屋製の食べるラー油は、一時期ほどではないまでも、いまだに品薄状態が続いています。食べるラー油のヒットで着目したいポイントが「一過性に終わらず、息の長いブームになった」「飲食チェーンとのコラボ商品が多かった」の2つです。

 (食べる)ラー油の流行は、かなり長期的・かなり複層的だったといえます。ブームの伏線となったのは、数年前から一部で話題になっており、入手が難しかった「石垣島ラー油」。ラー油という調味料に注目が集まりだしたタイミングで、桃屋が2009年8月に「辛そうで辛くない少し辛いラー油」を発売。ブログなどを中心に「辛いのか辛くないのかどっちなんだ」「商品名が面白いだけじゃなく、味もおいしい」という視点で口コミで話題になっていきました。2010年に入ってから、「ラー油を『食べる』というコンセプトが面白い」ということでテレビに取り上げられるようになり一気にブレイク。S&Bが2010年3月に「ぶっかけ!おかずラー油」を出したことでさらに話題になりました。

 ここまでであれば、夏頃にはブームが終わっていたかもしれません。これが年間を通して話題になったのは、食べるラー油を使った期間限定商品を複数のメーカーが展開したからと思われます。食べるラー油入りのコンビニおにぎり、ハンバーガー、牛丼……などが登場するたびに話題になり、ブームが長期化しました。

「安くしていないところはどこだ〜?」

 飲食物では食べるラー油のほか、「コンビニロールケーキ」(17位)、「激安居酒屋」(23位)などが票を集めていました。ランキングには入っていませんが、ウイスキーを炭酸水で割った「ハイボール」、若いお客が増えた「立ち飲み屋」、ファミレスとしてだけでなく、安くお酒を飲む場所としての「サイゼリヤ」、ご当地B級グルメが人気を競う「B-1グランプリ」なども今年で人気が定着した印象があります。

 これらに共通するのは「手ごろ」「値段が安い」といったキーワード。2010年にヒットした飲食品は、思い立ったときにいつでも食べられ、値段が安いもの。2009年のトレンド格付では「激安弁当」「牛丼値下げ」「メガ・爆盛り」などが話題になっていたことを思うと(参照記事)、2009年から続く「デフレに強い食品は流行る」の流れは、2011年も続きそうです。「国民が、『安くしていないところはどこだ〜』『安くできるところはどこだ〜』という犯人探しをしているみたい。まだまだ安くしていないところは来年も狙われそうな気がする」(土肥)

Twitterがこんなに普及するとは思わなかった

 編集部で投票用のキーワードを選定するときに、入れるかどうかかなり迷ったのが3位の「Twitter」。「2007年に@ITTwitterの記事を出したら、『今さらTwitterかよ』という反応だったほろ苦い記憶がある」(岡田)という通り、IT業界では4年前には話題になっていたサービスです。

 しかし、広く一般に普及したのはやはり2010年と言えるのではないでしょうか。編集部内でも「ギークではない、普通の友達がこんなに増えるとは数年前には想像しなかった」「大学の知り合いレベルで使っている人が増えた」「Twitterがmixiボイスで表示できるようになった(連携した)のは、実は普及に拍車をかけたのではないか」などの意見が出ていました。

 Twitterの普及は、スマートフォンの普及と表裏一体だったとも言えます。スマートフォン用のTwitterクライアントだけでなく携帯電話からTwitterを利用できるサービスも増えており(参照記事)、PCの前にいないときでも、携帯電話から「〜なう」とつぶやく人が増えたことで、Twitterの普及が加速したのではないでしょうか。

 テレビやラジオといった従来のマス放送との親和性を感じたのも、2010年のできごとと言えそうです。ラジオ番組ではハッシュタグを使ってうまく番組を広げたり、テレビ番組では脚本家の北川悦吏子さんがTwitterアカウントを開設、彼女が脚本を書いた『素直になれなくて』がTwitterがドラマに登場するということで話題になったり、ということがありました。また、サッカーワールドカップではゴールのたびにタイムラインがものすごいスピードで流れたり、NHKの大河ドラマ『龍馬伝』の放映時間になると、ソフトバンクの孫社長のツイートの口調が「〜ぜよ!」となるのも印象的でした。

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