地政学リスクもあって上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年02月07日 08時38分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10543.52△112.16

<TOPIX>935.36△7.79

<NYダウ>12092.15△29.89

<NASDAQ>2769.30△15.42

<NY為替>82.18△0.55

雇用の回復や景気回復期待で買われるも地政学リスクもあって上値も限定的

 注目された雇用統計は失業率は前月に続き大きく減少、予想を下回ったのですが、非農業部門の雇用者数の増加が予想を下回ったこともあり、週末の手仕舞い売りに押される始まりとなりました。それでも、手仕舞い売り一巡後は過去2カ月の雇用者数が上方修正されたことや雇用者数が予想を下回った原因が大雪の影響であり、一時的なものとの見方が強まり、懸念された雇用の回復が見られことから買い直されて堅調となりました。ただ、エジプト騒乱の拡大懸念は拭えず、上値も限定的となりました。

 先週発表された景気指標や雇用指標、そして小売各店の売り上げ動向など、総じて景気の回復を示すものとなり、堅調な展開が続きそうです。個人消費や雇用などの回復度合いと景況感、そして政府・FRB(連邦準備理事会)の金融政策をにらみながらの動きとなって来るのでしょう。中国の金融引き締めなど新興国のインフレや金融引き締めを気にしながらもとりあえずは企業業績の回復、景気回復を好感する動きが続くものと思います。

 個別には前日に予想を上回る決算を発表したJDSユニフェーズや朝方四半期決算と利益見通しが予想を上回ったエトナ、タイソン・フーズなどが大幅高となりました。週末ということで、利益確定売りに押されるものも多く、GE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコアが軟調となり、出遅れ感のあったクラフト・フーズやデュポン、プロクター・アンド・ギャンブルなどが堅調となりました。巨額詐欺事件に気付きながら黙殺したとして告訴されたJPモルガン・チェースが下落、バンク・オブ・アメリカも軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高や鉄鋼株の再編の話題などから大幅高となりました。決算発表が本格化している中で好調な決算を発表する企業も多く、積極的に買い上がる動きは今一つという感じではあるのですが、週末の持高調整の売り買いも交えて値持ちの良い展開となりました。景気回復に対する期待も根強く、週末の米雇用統計の発表を控えていても、買戻しを急ぐ動きなどもあったものと思います。

 週末の米国市場が堅調、特に心配された雇用指標に回復が見られることで、日本市場でも素直に好決算に反応しながら堅調な展開となりそうです。ただ、エジプト騒乱の拡大懸念が根強いことや、中国での利上げ懸念もまたぞろ話題になって来るものと思われ、上値も限定的となるものと思います。週末のヘッジ売りの買い戻しや為替が円安に振れたことを好感する動きは見られ、主力銘柄を中心に買い先行となりそうです。

 日経平均は引き続き10500円〜600円水準の節目を抜けるのかどうか、この水準で底堅さが見られるのかどうかを試す展開となりそうです。週末に大幅高となっていたことで、10600円抜けを試し、10500円水準での底堅さを確認することになるのでしょう。中国利上げ懸念や円高気味と言うような懸念材料が払拭されるまでは好決算に反応して堅調な動きとなっても次の節目である10800円〜900円を試すというよりは10500円〜600円水準を固めるような動きとなるのでしょう。

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