バナナから激安PB飲料水まで――自販機不況脱出のカギを考える郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2011年02月17日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

飲料自販機ではデフレが続く

 社団法人日本自動販売機工業会の調査によると、2009年末の自販機普及台数は521万台と前年比微減(マイナス0.9%)だが、約4割のシェアを占める清涼飲料自販機では前年比3.7%減である。

出典:社団法人日本自動販売機工業会

 年間販売金額は5兆2593億円と前年比8.5%減、うち飲料は2兆2909億円と前年比9.2%減。台数の減少率より金額の減少率が大きくなっているのは、安売りが原因だ。

 主要2社の決算を見るだけでも自販機苦戦は明らか。自販機売上が9割を占めるダイドードリンコの売上高推移からは、「このデフレの中、よく維持している」という奮戦ぶりを感じる。大手の中では自販機売上高比率が低いとされてきた伊藤園のチャネル別販売データを見ると、自販機売上高構成比は2009年の34%から、2010年は16%へと半分以下になっている。

ダイドードリンコの売上高推移(左)、伊藤園のチャネル別販売割合(右)

 11年前の2000年、自販機は550万台で約7兆円を稼ぎ出していた。今は当時より台数は5%ほど少ないに過ぎないが、売上高は25%も低くなっている。

電気会社だけがもうかる?

 自販機を設置するには3者がからむ。飲料の場合、「大手飲料メーカー」が自社商品の流通を条件に自販機を無償提供、「オペレーター」はオーナーへの営業や設置、運用を請け負う。場所を貸す「オーナー」は、定額ないし変額のマージンから電気代を差し引いた分が収入となる。

 では、この商売、もうかるのか?

 先ほどの3者は置いておくとして、少なくとも電気会社はもうかっている。それ以外はマージン率と販売本数次第だ。ただ、飲料メーカーは販売数を増やすことで生産コストが下げられるし、オペレーターは契約リベートがあるので、ある程度の稼働率を維持すればいい。問題はスケールメリットを生かすことができないオーナーだ。だから、ビル会社などでは自販機設置を「福利厚生の一環」「殺風景だから」くらいに考えているところが多い。

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