マスコミ四媒体の広告費、6年連続で減少

» 2011年02月23日 18時31分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 電通は2月23日、「2010年の日本の広告費」を発表した。ゆるやかな景気回復と企業業績の回復などが見られたが、昨年(2010年1〜12月)の総広告費は5兆8427億円、前年比98.7%と3年連続の減少となった。媒体別に見ると「テレビ」(前年比101.1%)の広告費は増加したものの、「新聞」(同94.9%)、「雑誌」(同90.1%)、「ラジオ」(同94.8%)は減少。いわゆる“マスコミ四媒体”の広告費(同98.1%)は6年連続で前年を下回る結果に。

 テレビの広告費は1兆7321億円。リーマンショックの影響を受け、2009年のテレビ広告費は2ケタマイナスだったが、2010年に入り、スポット広告が伸びた。バンクーバー冬季五輪、サッカーワールドカップ南アフリカ大会、上海万博など、国際的な大型イベントが開催されたことも、広告出稿にプラス要因をもたらした。また懸念されていたCM単価の低下にも、下げ止まりの傾向がうかがえた。

 一方、新聞・雑誌・ラジオの広告費減少に歯止めがかからない。広告収入の落ち込みは新聞社の経営にも大きな影響を与えており、2010年も業務統合、事業停止、夕刊廃止などの動きが見られた。また雑誌については老舗雑誌の休刊が相次いだため、広告費が減少した。「今後、新聞と雑誌は電子書籍に力を入れていくだろう。この分野の広告費が伸びていくのではないか」(電通)と見ている。

媒体別広告費(出典:電通)

インターネット広告費は拡大

 インターネットの広告費は7747億円で、前年比109.6%。インターネット広告は世界同時不況の影響を受け、成長が鈍化したものの、2010年には回復基調となり、市場全体としても順調に拡大した。またモバイル広告と検索連動広告の伸び率が目立った。

 インターネット広告費は統計を取り始めた1996年以来、ずっと増え続けている。その一方で、新聞や雑誌の広告費は減少傾向にある。こうした動きに因果関係はあるのか? という記者の質問に対し「関係はない」(電通)ときっぱりと否定。そして「今年は大きなイベントが少ないが、ゆるやかな景気回復によって、全体的に広告費が増えるのではないか」(同)予測した。

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