週末の手仕舞いの買戻しも入って堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年02月25日 16時04分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 波乱含みとなった週の週末とあって、下げ過ぎたものにはさすがに買戻しも見られ、米国ナスダック指数が堅調となったことなどから指数も堅調となりました。それでも好材料への反応も限られ、相変わらず持高調整の売りが出ているものは冴えない展開となり、指数の上値も限定的となりました。まだ週末の中東情勢などが気になり買戻しや押し目買いは見られるものの、積極的に好業績を見直すような動きは見られませんでした。

 景気回復過程において子会社の再編など合従連衡の動きが多く見られ、M&A(合併・買収)やMBO(経営陣による買収)などを含めて、株式需給には大きな影響を与え、公募やTOB価格などに振り回される場面もありそうです。いくつかの資本の異動を伴う事例を見ると、本当に株主や市場に対して愚弄しているとしか思えないような事例も散見されます。以前このコラムでも述べましたが、MBOでの非上場化などは東証の社長も憤っていましたが、本当に考えさせられます。

 子会社の上場にしても同じことで、子会社を上場させて資金調達をし、親会社は利益が出ることが多いと思います。そして、その後株価が下がったところで、「完全子会社化」などといってTOBなどで買い戻せば、これもMBOでの非上場化と同じで、高値で売り抜け、安くなったから買い戻すということと同じことになります。時価にプレミアムをつけたからといってそれで、良いというわけでもないでしょう。

 逆に公募などは本来、財務基盤の建て直し、そして用途がはっきりとしている資金であれば好感されてもいいはずなのですが、市場では売り要因とされてしまいます。株式価値の希薄化といっても、価値を高めるための資金調達であれば、公募を懸念する必要もないと思います。いずれにしても、株式の価値、市場の存在を改めて考えさせれることも多く、逆に言えば、新規上場の時から、慎重に「新規上場だから」と言うだけで注目することなく、先を考えて投資をすることが必要だと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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