中東情勢の緊迫化を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月02日 08時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10754.03△129.94

<TOPIX>63.70△12.43

<NYダウ>12058.02▼168.32

<NASDAQ>2737.41▼44.86

<NY為替>81.84△0.07

好調な景況感への反応は限定され、中東情勢の緊迫化を受けて大幅下落

 朝方はアジア株高などを受けて買い先行となったものの、中東情勢の緊迫化やFRB(連邦準備理事会)議長がインフレに言及したことなどが取り沙汰されて手仕舞い売りが嵩み大幅下落となりました。注目されたISM(米サプライマネジメント協会)景況感指数は7カ月連続で前月を上回り、予想も上回ったのですが、特に取り沙汰されることもなく、原油や金の先物などインフレ対応としての資金シフトも見られ、大きな下げとなりました。

 まだ上昇トレンドが崩れたということでもなく、ISM製造業景況感指数でも新規受注や生産、雇用と言う部門が好調となっており、景気回復が認められることで、今度はインフレを懸念したQE2の出口の問題となって来そうです。中東情勢の緊迫化がインフレを助長、単純に景気が回復したからQE2の出口を探るということではない、と言うことなのだと思います。原油価格の高騰も多分に投機的な要因もあり、原油価格の水準と言うよりも落ち着きが見られれば再度景気回復を織り込みながら堅調な展開となって来ると思います。

 個別には訴訟に絡み追加費用が発生する可能性があると発表したJPモルガン・チェースが安く、HSBCが投資判断を引き下げられて売られたことなどから総じて金融株が軟調、インフレ懸念が強まりQE2の「出口」が懸念されて景気敏感銘柄が総じて安く、GE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコアが大幅安、キャタピラーやフォード・モーターも大幅に近い下げとなりました。インテルやIBM、アップルなどハイテク銘柄も軟調、エクソン・モービルやシェブロンも原油高にも関わらず売られました。ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドは金先物価格が上昇したことで堅調、ウォルマートも景況感が良いこともあって堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は中東の騒乱が一段落となり、原油の供給停止懸念が薄れたことや米国株が堅調となったことから、買い先行となり、中国PMI(購買担当者景気指数)が3カ月連続で低下、インフレ懸念が薄れたことで買戻しを急ぐ動きもあり大幅高となりました。月が替わって持高調整の売りが一段落となったことも、指数を押し上げが大きくなった要因となりました。

 米国市場が大幅下落となったことや昨日の大幅高の反動から売り先行となりそうです。米国市場でもインフレ懸念などが取り沙汰されて売られており、原油価格の落ち着きや中東情勢の落ち着きが見られないと売り急ぐ場面もありそうです。決算月で持高調整の売り買いが中心となり売られた銘柄の買戻しもあって底堅さも見られるものと思います。総じて軟調な展開が予想されるなか、インフレに強い非鉄株や商社株などは期待されます。

 昨日は一気に戻り歩調となりましたが、まだ下値を試す動きもあるかもしれません。ただ、引き続き値動きの範囲としては日経平均で10500円〜600円水準を下値に10800円〜900円水準が上値と見ておいていいのではないかと思います。足元の景況感に変化が見られるようであればその範囲を上下に抜けて来るものと思います。本日米国株安を受けて売られたとしても昨日の上昇分を打ち消す10600円台前半の水準では底堅さは見られるのではないかと思います。

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