コラム
» 2011年03月21日 08時00分 公開

その報道は誰のため? 被災した子どもにマイクを向けるな相場英雄の時事日想・特別編(2/3 ページ)

[相場英雄,Business Media 誠]

ここまで取材する必要あるの?

今、被災者した子供を取材する必要があるのか?

 「ここまで取材する必要あるの?」

 臨時休校で自宅待機を強いられていた筆者の小学生の愚息にもこうしたシーンが否応なく届いた。そのたび、何度も尋ねられた。メディア界に身を置いてきた者として、父親として、断じて違うと説明した。

 無神経にマイクを向けたテレビ関係者、そして新聞記者の皆さん。自身が同様の環境に置かれた際、マイクを向けられたらどう感じるだろうか。被災した自分の子供が密着取材されたらどうか。

 報道する権利があるし、その必要がある。そう主張されるメディア人もいるはずだ。だが、被災者の傷口に塩を塗るような報道は、決して被災者のためにはならない。視聴者のためにもならない。報じる価値はないと筆者は断言する。

 放送コードの関係で、被災地の路上のいたるところに遺体が放置されていたシーンを放映できなかったことは理解できる。また、大津波で放置された無数の車両の中に、何日間も遺体が収容されずにいたことも皆さんは熟知していた。

 こうした状況の中で、あえて被災者にマイクを向け、無神経な取材を繰り返したことに被災者は怒りを隠さない。こうした行状は筆者のもとに続々と届いている。今後、被災者の了解を得たうえで、本稿でも随時紹介していく予定だ。Twitterなど各種のSNSが利用者を増やし続ける中、視聴者や読者はマスコミ不信の度合いを強めている。そこに今回の大震災での非常識な取材。ツケは大きくなることを覚悟していただきたい。

 Twitterで一連の報道を批判し続けたあと、筆者にこんなメールが届いた。

 「連日の報道で封印した痛みが出てきそうなので、あまり見ないようにしています」

 16年前、神戸で阪神・淡路大震災に遭われた方からのメッセージだ。大手メディア、とくにテレビ関係者はこの思いをどう受け止めるだろうか。

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