LED照明レンタルから断熱仕様の家まで……節電ビジネスを応援しよう(1/2 ページ)

» 2011年04月08日 08時00分 公開
[猪口真,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 経済の立て直しの1つが、電力不足にどう対応するかであることは間違いのないところだ。

 経済産業省は電力需要の4割を占めるとされる一般家庭に対する節電を呼びかけ、家電における節電対策を掲載したWebサイト「節電 ‐電力消費をおさえるには」を開設したり、企業に対しても、労働時間の変更や休暇の長期化、分散化まで含んだ要請事項を発表したりしている。

 企業側も、日本経団連が夏場の電力不足に備えるため「電力対策自主行動計画(仮称)」を4月中には策定することを決めている。さらに、東電などは、企業が保有する自家発電設備の増強を呼びかけ、供給の増加対策も検討している。

 こうした国や団体の呼びかけも重要だが、我々のビジネス上の役割を考えた場合、その1つとして、節電効果のある商品やサービスを開発する企業や製品を応援し、普及に貢献することがある。これまでは環境対策、CO2削減対策として行われてきた商品やサービスの開発だが、この夏の電力不足に向けて待ったなしの状況になっている。

 節電効果の高い製品で思い浮かぶのは、なんといってもLED照明だろう。「LED照明の消費電力は白熱電球のおよそ7分の1ほど」と言われながらも、その価格の高さからなかなか普及が進んでいない。しかし、各社の開発努力によって、機能面ではかなりのところまできている。

 アイリスオーヤマは仙台に本社を置き、地震による被害を受けながらも現在は完全に製造、物流ともに復旧している。そのアイリスオーヤマが開発した、高天井用LED灯は、明るさと低価格を両立させ、高天井用LEDランプ6種類を4月に発売する。

 業界最高クラスの明るさを実現しながら、他社従来品よりも3割ほどコストダウンしている。消費電力は水銀灯よりも40%少なく、50個で1日10時間300日の点灯だと年間35万9000円の電気代を節約できるという。さらに一般的な水銀灯と比べ3倍以上の4万時間と寿命が長く、ランプ交換が約10年間も不要という。

 LEDとともに注目されているのが、薄くて軽い有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)だ。アイリスオーヤマと同じく東北地方、米沢市のルミオテックは、2011年1月、パネルの量産に成功し、新しい照明器具としてさまざまなターゲットに提案している。廉価になったとはいえ、数万円はするので、当面は小売業をはじめとする業務用が中心になると思われるが、消費電力を白熱電球の8分の1程度まで引き下げることができるとされているため、節電効果は抜群だ。

 こなれたとはいえ、まだまだ初期投資のコストがかかるのも事実で、そこでヤマダ電機はLED照明のレンタル事業を始めた(ヤマダ電機の事業所向け「あかりレンタル」サービス)。初期投資はかからず、電気代よりも安いレンタル料というのが魅力のサービスで、実質はコストがかかることなく、節電に貢献できる。

 それから、ケータイからスマートフォンへの移行が進む中、スマートフォンのバッテリーの持たなさを指摘する声は多いが、その解決策になりそうなのが、パナソニックとして生まれ変わるSANYOから発売する「エネループツインポータブルソーラーセット」だ。想像するにスマホの電気使用量だけでも相当になるはずなので、スマートフォンユーザーは必携だ。

 さらに大きな家単位の話でいけば、創建と小林住宅産業が提供する外断熱の家「Kurumu(来夢)」。一般ユーザーから募集したというこのユニークなネーミングを持つ住宅は、効率的な外貼り断熱で、年間冷暖房費を約57%も削減できるとしている。

 もちろん、各家庭での太陽光発電システムは住宅での大本命だ。これまで初期コストが大きく、どの家庭でも気軽にとはなかなかいかないが、補助金制度やヤマダ電機のようなレンタルビジネスが本格的に始まれば、あっという間に普及するだろう。

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