新聞社が縮小すれば、“ジャーナリズム精神”も衰えるのか烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(5)(1/3 ページ)

» 2011年04月13日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 若い人を中心に“新聞離れ”が進んでいる。新聞通信調査会の調べによると「毎日、新聞を読んでいる」という人は、全体で61.8%(関連記事)。年代別にると、40代以上は半数を超えたが、30代で36.9%、20代で22.1%にとどまった。

 こうした事態に歯止めがかからなければ、新聞が衰退するのは明らか。そして新聞社を去っていく記者が増えていけば、いわゆる“ジャーナリズム精神”も消滅してしまうのだろうか。

ジャーナリズムは衰えていない

The Elements of Journalism』(Bill Kovach)

烏賀陽:『週刊新潮』でジャーナリストの黒藪哲哉さんが「押し紙」問題を報じていた。読売新聞と週刊新潮が激しい攻防を繰り広げていましたが、多くの読者はこれを見ていて「新聞社は部数を水増ししているな」と感じ取っているのではないでしょうか。

窪田:全体的にいえることですが、新聞の購読部数が減少している。そうすると会社としては記者をリストラせざるを得なくなり、やがて「元朝日」や「元読売」のフリーライターがどんどん増えていくのかもしれない。米国のように。

 米国では読者から寄付を募り、それを基に記者が取材し記事を配信する「デモクラシー・ナウ(Democracy Now!)」といったWebサイトがあります。やがて日本もそうなるかもしれない。それとも読売新聞であれば“読売王国”の中で、自分の居場所を作っていくのかもしれない。

烏賀陽:米国を取材して「新聞というメディアは死につつあるが、ジャーナリズムは衰えていない」と感じましたね。ニューヨーク・タイムズのワシントン支局長だったBill Kovach(ビル・コバチ)記者が書いた『The Elements of Journalism』という本があまりにいい本なので、会いに行った。

 彼はこのように言っていました。「新聞かインターネットかというのは問題ではない。ジャーナリズムを体現していれば、それはジャーナリズムなのだ」「ジャーナリズムにのっとって取材をし記事を書くなら、その人はジャーナリストなのだ」「社員であろうが、フリーであろうが関係ない」と。その通りでしょ?

窪田:分かりやすいですね。

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