予算削減や金融株の増配見送りもあって堅調だが上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年04月14日 09時02分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9641.18△85.92

<TOPIX>844.59△6.08

<NYダウ>12270.99△7.41

<NASDAQ>2761.52△16.73

<NY為替>83.81△0.23

景気回復は期待されるものの、予算削減や金融株の増配見送りもあって堅調だが上値の重い展開

 朝方発表された小売売上高は前月比で予想を下回ったものの1、2月分が上方修正され、金融機関の決算も予想を上回ったことなどに加え、前日の下落の反動もあって堅調となりました。ベージュブック(地区連銀経済報告)でも景気回復が示されたことで買い安心感も出たのですが、一方でQE2(量的緩和)終了のあとの懸念や決算を発表した金融機関のCEO(経営最高責任者)が今後数四半期は増配を見送るべきと述べたことが伝わり、上値も重くなりました。

 また、財政再建計画が発表され、防衛費の削減などからの財政赤字削減が示されると望遠関連銘柄などが売られて上値を押さえる要因の一つとなりました。景気回復が見られるなかで、財政赤字削減が示され、改めてQE2終了後の資金の流れも気になり出していると言うことなのだと思います。中東・北アフリカ情勢の緊迫化が一段落、日本の原子力発電所問題も小康状態、欧州金融不安も中国のインフレ懸念も一段落となっており、QE2後の米国経済も比較的楽観的に見ても良いのだと思います。

 個別には防衛費削減が取り沙汰されて、ボーイング、ロッキード・マーチン、レイセオンなど防衛関連銘柄が軒並み軟調、予想を上回る決算を発表したJPモルガン・チェースは買い先行となったもののCEOの増配見送り発言が伝わると利益確定売りに押されて軟調、金融機関の業績への慎重な見方が強まり、バンク・オブ・アメリカなど金融株は軟調となりました。ベージュブックで堅調な景気回復が示されたことや個人消費の回復が示されたことから、アップルやIBMなどハイテク銘柄が堅調、GE(ゼネラル・エレクトリック)は軟調となったもののキャタピラーやフォード・モーターなど景気敏感株は堅調なものが目立ちました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高を嫌気して売り先行となったのですが、前日の大幅下落の反動や値ごろ感からの買いが見られ堅調となりました。外国人も売り越し基調ではあるのですが売り一巡となり、再度売られ過ぎ水準まで軟調となったものなどが物色されました。

 米国市場は小幅高となりましたが、日本市場は昨日の戻りもあり、上値の重い展開となりそうです。原子力発電所事故の進展が見られず、政府が状況を把握し切れておらず、何をどう進めているのか、解決の糸口、方向性も見られないなかでは操業再開などが取り沙汰され、復興期待が強まっても買い意欲もわかないのではないかと思います。値ごろ感から買いが入るものもあるのでしょうし、蓄電池関連銘柄、代替エネルギー関連銘柄などが物色されるのでしょうが、最後まで買い切れずに指数の上値は限られそうです。

 日経平均は9500円〜600円水準での底値固めと言う雰囲気です。まだ上値の節目と見られる9800円〜900円水準を目指すと言うよりは個別の物色の中で下値を固めると言う状況ではないかと思われます。余震もいったんは治まっており、原子力発電所事故の悪化が見られない限り底堅さは見られるのでしょうが、業績への影響も取り沙汰されるところで、下値を試す場面もあるのでしょう。

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