震災後見えてきた流通の明日の姿――それは“善き商人”であること郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2011年04月21日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotobike


 “100人の八百屋が立ち上がる”と銘打った「被災産地応援フェアー」が4月13日、足立区役所で開催された。原発事故で風評被害を受けている福島県、茨城県、栃木県、千葉県、群馬県の八百屋が集まり、新鮮な農産物を直売。その人いきれ……まるでアメ横かと思った。

 おばさんたちのつかみ取りに弾き跳ばされ、跳ね返され、もみくちゃに。義援金を出すのも消費者なら、セールに殺到するのも消費者。極限状況で人は本性を出すもの。消費者だけではない。流通業もあの日、本性を現した。

 震災後、必死で開け続けたローカル食料品店。炊き出しもしていた。タダでお饅頭を配る和菓子屋もあった。先々週のコラム「『人間は強いですから』――復興にかけるトラックとコンビニの物語」では、総力を挙げて被災地におにぎりを届けるローソンの姿も書いた。

 その一方、物流が寸断されて、商品入荷がないために販売機会を失い、節電で閉める店もあった。ライフラインの上での課題が見えた。

 「食こそ生命線」と改めて気付かされた今回の震災。そこで「震災後、食品流通はどう変わるのか?」、供給・販売・商品・消費者意識の各面から考えてみた。

余談だが、被災産地応援フェアーでの福島県の農産物販売が「もやし」だけとは……。屋内栽培の農作物は、もっと売ってもいいように思った
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