城:会社は予算を一律カットするように、電力量も一律にカットするでしょうね。みんなでカットしようとするので、当然生産性も下がってしまう。
昔であれば、みんなで同じことに取り組めば、それなりにメリットもあった。しかし今はあまりメリットがない。“負のお家芸”のような文化が残っていますね。
ちきりん:電気代が高くなっても、企業は高く売れる商品、つまり、コストが高くなっても利益のでる商品は作り続けるはずなんです。そうすると付加価値の高い商品だけは作られ、高い電気代を支払ったら赤字になる利幅の薄い商品は作らなくなる。すでに中国などにコストで負けていた商品は日本では作らなくなるでしょう。電気代が高くなることで、高付加価値商品を作る企業だけが操業を続けることになる。これが価格調整のメリットです。
もし総量規制が導入されてしまうと、競争力のない商品も一定量は日本で作られてしまう。反対に、日本でしか作ることができない高付加価値の商品も、電力不足が原因で製造量を減らさざるを得なくなり、犠牲になります。復興のためには経済の付加価値をできるだけ高くしていかなければいけないのに、とてももったいないです。
ちきりん:震災後、日本の会社はかなり変わると思われますか?
城:採用はかなり減っていますね。例年4月から選考が始まり、ゴールデンウイークごろにひと段落といった感じですが、震災後、急に採用にストップをかけた企業が多い。大企業で採用を2〜3カ月遅らせるところが出てきていますが、それは善意でもなんでもない。本音は、先行きが不透明なので、採用を見直しているだけのこと。
中小企業でも新規採用をストップしているところが多く、学生の内定率は昨年をさらに下回りそうですね。日本型の終身雇用と年功序列のシステムは、新人が入社しなければ支えることができません。新卒を絞ってしまうと、既存正社員も変化せざるを得ないでしょう。
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