軟調だが、機械受注が好調で底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月16日 16時09分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 週末の米国株が軟調となったことや円高に振れたこと、また、原子力発電所事故が想定されていたよりも重大であったことなどを嫌気して売り先行となりました。IMF(国際通貨基金)の専務理事が逮捕されたことで、欧州財政問題などへの懸念が強まり、金融不安が強まったkとおも売り急がせる要因となりました。ただ、先週末に下落となっていたことに加え、朝方発表された機械受注が予想に反して前月比で増加していたことが好感されて、指数は底堅さも見られました。ただ、買い戻しを急ぐ動きや積極的に買い上がるような動きもなく、原子力発電所問題がさらに悪化する懸念もあることから、冴えない展開が続きました。

 原子力発電所事故に関しては「やはり」と言う感じで、これまでの情報がいかにいい加減であったのかを露呈する格好となりました。こうしたことが露呈することでさらに疑心暗鬼になり、そうした疑心暗鬼のなかで債権放棄などに言及した政府に対する不信もますます募って株式投資意欲もなくなってしまうということではないかと思います。素朴な疑問として電力会社ばかりなんだかものすごく優遇されているとの印象が強く、政治との関連を勘繰りたくもなってきます。そうした政府と電力会社の動向に振り回されざるを得ないことで投資意欲も減退してしまうということでしょう。

 発電と送電の会社を分離するなどと言う案も出ているようですが、これまでのいろいろな問題も政策で解決するよりも市場の動きで解決させた方がいいということも多いのではないかと思います。規制が強化されると廃れてしまい、規制が緩和されると隆盛となることは「郵政民営化」時の株価動向を見ても明白であり、逆に「護送船団」の中で解決を図ろうとした銀行などの問題はあれだけ長引いてしまったと言うことでも、いかに規制が市場を歪めているかがわかると思います。

 規制が緩ければ緩いほど商売はやりやすくなり、儲かる企業が多くなるということをもう一度考えてみてもいいのではないかと思います。そして今回の原子力発電所事故をきっかけに電力の自由化は進むのではないかと思います。小規模な発電所、特に太陽光などの環境負荷の小さな発電所などが作られる可能性は大きく、工場やビルなどのでの自家発電設備の導入、燃料電池なども注目されるものと思います。家庭用蓄電池なども補助を出せば爆発的に売れると思われますし、電気自動車のバッテリーと自宅の蓄電池を共通化するとか、いわゆる「スマートハウス」なども補助を出してどんどん進めるべきではないかと思います。電子力発電所を作る資金を補助金に振り向ければ市場の論理でかなり良い方向に行くのではないかと思います。補助を付けることでETCが馬鹿売れしたように、LED(発光ダイオード)照明や蓄電池に補助を出すことで一気に普及することは間違いなく、節電効果も大きいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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