ちきりん:近い将来、大企業の人事政策に変化が起こる可能性はあるのでしょうか? 変えなくちゃいけないという理屈もよく分かるし、変えればいろいろな問題が解決できるという理屈も分かります。けれど、今の経営者側にとって、変えることに何らかのインセンティブはあるのでしょうか?
城:主体をどこに置くかによって変わりますね。例えば株主の立場からすると「いつまで中国と同じモノを作っているの?」といった不満もあるでしょう。「なぜこんなに配当が低いの?」といった声は何十年も前からある。
経営陣になると、意見が分かれますね。「変えなくていい」という人がいる一方で、「雇用の流動化までは言わないから、とりあえずバブル世代をクビにする方法はありませんか?」と言う人もいます(笑)。また「自分が育ってきた組織。同じ釜の飯を食ってきた人たちをクビにするのはダメ」という人も多い。おそらく東京電力の経営陣は「クビにするのはダメだ」というタイプではないでしょうか。
経営陣の意見は2つに分かれますが、正社員で「変えるべきだ」と思っている人はほとんどいません。変えることのメリットをきちんと説明しても「嫌だ」という人が多いですね。
ちきりん:JALがパイロットやキャビンアテンダントに高い給料を支払ったまま潰れてしまったのは、象徴的ですよね。彼らはリストラで待遇が悪くなったというけど、それはあくまで自社の過去の待遇との比較であって、世間との比較ではないんです。自分たちの待遇が世間からみてどうなのか、という視点は全くありません。
城:JALと東京電力が共通するのは半官半民であること。「最後はなんとかなるだろう」と思っている人が多いのではないでしょうか。他の会社で働いている人は、その部分に一線を引いている。しかし日本企業は、もう1つの線を越えるかどうかを決断しなければいけない時期に来ていると思う。
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