広告会社CFOとNY日本人コミュニティー運営を両立――榮枝洋文さん世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/3 ページ)

» 2011年05月25日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

海外での価値観の変化

――もともと海外で働きたいという志向をお持ちでしたか?

榮枝 もともと最大にして最優先の志向が「米国で働きたい」でした。

 「海外で働きたいか」という質問では、「国内」と「海外」と分けていますが、現代の地球に生きる人々にはどうもピンと来ない区分だと思います。

 例えば、「日本が好きかどうか」を問う質問について考えると、「東京が好きか」という区分を聞く質問と同じく、どこからどこが日本なのか、あるいは東京なのかが曖昧なので、答えがたいということに気付くでしょう。なので、「国」という区分での内外比較にはあまり興味はありません。

 私は生まれた場所や東京近郊での「理由無き伝統、慣習への服従」が、どうも自分が命令されているようで、しっくりきていませんでした。自分らしくありませんでした。その「服従」の上で、既得権を謳歌している世代がいたのですが、動かしたくても動かせませんでした。

 たまたま、その対極(自由)のイメージが米国やニューヨークにありそうだったので、ここに来てみたかったのです。来てみたら、やっぱり自由でした(笑)。「相手を変えるのではなく、自分を変えればいいのだ」と知りました。

 「海外で働きたい」というより、「自分を束縛するルールに従いたくない。自由にしたかった」という感じかな。

――海外に出て変化した価値観はありますか?

榮枝 すべての事象・モノには、特に意味が無いことを知りました。

 昔から「当たり前」と教えられていたようなこと、例えば「ご飯は1粒も残さない」などということが大事でもないし、逆に大事じゃないわけでもない、どちらでもないということに気付きました。そもそもご飯粒自体、ある土地の文化でありますし、「大事にしよう」と決めた土地・時代に生きていただけなのだと気付きました。

 土台・前提が変われば、いろんな見方があり得るし、それは自分で自由に好きな選択をすれば良いだけだと知りました。「当たり前」とか「空気を読む」ということを、周りから無理やり押し付けられない環境にいたからこそ、気付けたのだと思います。

――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。

榮枝 「たくさん」が好きなので、追いかけたいです。例えば、1個、2個よりも、億単位、兆単位の方がドキドキするので意識したいです。

 これは「質を落として数を取る」という意味ではなく、質の面においても、深さやクオリティーがケタ外れ、という意味において抜きん出ていることが、自分の好きなことなのだと思います。

――最後に日本の若者にメッセージをお願いします。

榮枝 日本だけよりも、アジアだけよりも、やっぱり先進国で大きな国のマーケットを見ること、知ることは、「脳開」するような刺激があって、ものすごく楽しいですよ。

 この記事の読者の方に何らかの海外への興味があるなら、まずは飛び出してみた方がいいです。飛び出さなければ、これまで通りの保守・言いわけの「小さな自分」が一生続くだけです。器を格段に広げるため、自分の未知の可能性を知るためには、日本の中や、その延長のアジアよりも、欧米を体感することをまずはお勧めします。

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