コラム
» 2011年05月25日 10時00分 公開

Twitterはコミュニケーション革命なんかじゃない遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(3/4 ページ)

[遠藤 諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

 Twitterには、いくつかの際だった特徴がある。例えば、ミニブログとは言われるものの140文字しか書けない。「フォロー」という仕組みによって人のネットワークができる。それによって、「タイムライン」という自分のトップページが変わる。「ハッシュタグ」によって、トピックを整理できる(これはTwitter自身が用意した機能ではないところが注目すべき点なのだが)。また、第三者がTwitterに関連するサービスをいくつも立ち上げている点も大きな特徴だ。

 それらがどれくらいの威力を持っているかは、実は、アスキー総研自身が経験している。2009年8月に実施して販売を開始した『iPhone利用実態調査』というレポートは、販売開始直後に1件売れたあとは売れなかった。ところが、1週間後からほぼ毎日売れるようになったのだ。調べてみると、iPhone関連のコミュニティにいる1人の「つぶやき」がきっかけで、情報が広く伝播していったことが分かった。

 そんなわけで、Twitterは「コミュニケーション革命」と見るのが一般的だろう。アスキー総研でも、2009年12月に『Twitter利用実態調査』というものを実施した。11月に実施した『MCS(メディア&コンテンツサーベイ)』の約1万人の集計結果から、Twitterに関連する要素を抽出。より踏み込んだTwitterのユーザー動向を約300人を対象に実施して、これらのデータを照合した。そして12月26日に「『Twitter利用実態調査』結果のお知らせ」(PDF)というリリースを出した。

 詳しい内容については同リリースをご覧になっていただくのが早いが、いまTwitterを利用しているユーザーの姿を、さまざまな角度から分析できる。また、1月中旬に発売予定の『Twitter利用実態調査詳細レポート』では、Twitterと他サービスの利用者の間で、プロフィールや接触媒体、ネット上での消費傾向の違いなどについて詳しく分析する予定である。Twitterの自社業務での活用を検討している場合には、有効な基礎資料となるはず。

情報が損なわれていくのではなく、新たな知識情報処理が行われている

 さて、そんなふうにTwitterを見てきたわけだが、1つ重要なポイントに気づいていた。1980年代のパソコン通信や草の根通信、UNIXのネットワーク、そしてデジタル上のコミュニケーションを見てきた我々としては、「おやっ?」と思えることがあった。Twitterでは、「Reply」(返事)や「RT」(Retweet、そのまま再度つぶやく)される過程で、情報の中にノイズが入り込んでいくのだ。

 例えば、わたしが『Twitter利用実態調査』のリリースを出したことをつぶやいた結果どうなったか? 2009年12月28日に、わたしがつぶやいたのは、

というものである。これが、100個以上のRTやReplyを経るうちに、コメントが追加される、質問や疑問、ケチもつく。簡単に整理してみると、次のようなことが起きている。

(1)伝聞

 そのままRetweet(RT)される。ただし、誰がRTしたかがTwitter IDの形で埋め込まれるので、属人性が加わるともいえる。

(2)批評

 「やっぱり平均年齢高いなw」など、感想が加えられる。ユーザーとの意識の差という情報が付加されたともいえる。

(3)増幅

 「あはは、納得」など、データの説得力が強調される。分かりやすく言い換えてくれるケースもある。

(4)付加

 「好きなTV番組は『タモリ倶楽部』」など、リリースの中の注目ポイントなどの情報が付加される。

(5)展開

 情報を伝聞しない単なるReplyから、新たなTwitterに関する議論ももちろん始まる。

 以上は、情報が広がるときにどんなノイズが加わったか、あるいは損なわれたかだけを書いているが、問題点を指摘するなど、抑制的に働くコメントもある。

 あるいは、「意外に高年齢」 というコメントに対して、「年齢は男女でもかなりのズレがあるようです」とReplyしてやると、これが新たにRTされたりする。今回はそれほどにはならなかったが、発信元が再度つぶやくことにより、議論に発展したり、第二波の伝聞が始まることがある。

アスキー総研『Twitter利用実態調査』より、年代別の利用率。20代が最も多く利用しており、平均年齢は35.7歳

 100件以上のRTを経た頃に、元のわたしのつぶやきの中に含まれていた文字列で残っていたのは、なんと「Twitter利用実態調査」という部分だけだった。これだけ見ると、元の情報の20%以下しか残っていないのだから、相当な情報劣化に見える。

 しかし、これは情報が壊れたというのではなく、有用な情報のネットワークが生まれたというほうが正しい。

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