引き続き世界的な景気鈍化懸念に持高調整の売りが嵩んで軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月25日 16時08分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が軟調となったのですが、商品相場が堅調となったことや為替の落ち着きなどもあって買い先行となりました。ただ、寄り付きの買いが一巡となった後は持高調整の売りや世界的な景気鈍化懸念が強まっていることなどが取り沙汰されて売られ軟調となりました。下値をむきになって売り叩くような動きではなく、パラパラと断続的に売られるような感じで、持高調整の売りが継続しているということなのだと思います。一方で買い手掛かり難と言うことで買い気に乏しく、ちょっとした売りに値を崩してしまうものも多くなっています。

 買い気に乏しい展開となっていますが、今の相場は何を「買い材料」としているのでしょうか。売られ過ぎの修正が終わり、決算発表も出揃い、大震災からの工場や事業の再開も見られ、生産の回復などが前倒しとなりそうだと言うようなニュースも出て、好感しても良い材料も多いと思います。こうした材料は、特にわかりやすい「上方修正」や「下方修正」、「公募増資の発表」や「自社株買い」などに比べると反応が鈍いような気がします。

 ただ、わかりやすい材料で買われるということは、それだけ「誰もがすぐに買う」と言うことであり、後から買う人が少ないと上値も限られてしまうと思います。つまり、「一過性」にすぎないのです。逆にどのように判断すればいいのかわからないような決算動向や多くの人が失望してしまうような決算発表などが後から好転するとか、後から好調な決算を見て買う人が出て来るなどわからないうちに買っておけば皆が気がついて大騒ぎしているところではしっかりと利益が出るような状況になっているのだと思います。

 周りが気がつかないだけ、と言うことも案外多く、親の意見や冷酒のようにあとから効いてくることも多いのです。また、「○○関連銘柄」などと囃されては見たものの、実はたいしたことなかったなどと言うこともよくある話で、周りの意見や評判を鵜呑みにするのではなく、本当にその材料でその企業の株をどこまで買えるのかなどを参考にしても良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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