さあ、そんな今年のクールビズを語る前に、日本の男性の多くは、カジュアルな服装になった途端、これほどまでにステキじゃなくなるのか、ということはここ十数年来語られてきました。婚活でスタジオの門をたたく30代の男性の悩みも普段着の着こなし方。それほどまでに、「背広スタイル」だけが定着してしまった日本の男性たちの浮かばれない服装事情があるのでしょう。
だから、クールビズとうたうとスマートカジュアルを通り越して、ゴルフウエア、もしくは近所でくつろぐ姿になってしまうのでしょう。
この大きな要因は、西洋の男性のように子どものころに洋装のマナー教育を受けていないことにあります。洋服文化そのものが100年経っていないわけだから仕方がないのかもしれません。そこで、今回クールビズを語る前に洋服の歴史について少し触れたいと思います。
さて、ビジネススーツの原点は軍服です。詰襟の軍服と言えば戦争映画によく出てきますね。学生服同様、襟が詰まっているものです。軍服はとにかく体のラインにきれいに沿ったもので肌を露出しません。1人1人が自分を律するために作られた服装です。いつしかそれがスーツのジャケット(背広というもの)に変化していきます。詰襟が開き、ラペルができます。かつてはボタンホールだったものがフラワーホールとされました。きちんとした詰襟が開いた分、シャツの襟とネクタイできちんとした首まわりを演出します。それがVゾーンです。1980年までは日本もクラシカルな身体にあったスーツを着る人が多かったようです。
その後、時代が変わり、1980年代に米国からソフトスーツなるものが入ってきます。ゆとりのある大きさで、袖も丈も長め、スラックスもゆったりしてタックも大きく取ってありました。私の同期で先取りファッションの男性はソフトスーツを着ていたようです。今でも、40〜50代にこの流れのスーツを着ている人が多くいますが、ちょっとだらしなく、古臭い遊び人風の印象です。
しかしここ数年、日本のスーツはクラシカルスタイルに戻ったと思ったら、行き過ぎた方向に向かい、ツンツルテンの窮屈そうなスーツを着用している若いビジネスマンを多くみかけます。まあ、こんな風に時代の変化に伴いビジネススーツも変化してきたのです。
では、アンオフィシャルなスタイルの世界はどうでしょうか。オフィシャルでなくても、英国やフランス、イタリアの貴族の子女たちは、人前に出るときはきちんとしたカジュアルを身にまとうよう教育されます。
それが、オックスフォードやケンブリッジなどでみられる紺ジャケットとグレイのウールパンツ、白いシャツにネクタイ、黒い革ベルトと革靴というコーディネイトなのです。日本でもセレブが通う高校や中学はこのスタイルを採用しているところが多いようです。日本の大人の男性には「こういうスタイルは学生っぽくて……」と言う人もいますが、どんな高級レストランでも受け入れられる最もきちんとしたフォーマルに近いカジュアルなスタイルということになります。
ただし、このスタイルをきちんと精悍に見せるには、すべて身体のラインに沿った、余計なゆとりがあり過ぎない大きさであること。それが必須条件です。
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