そして、企業側はどうするか。いったん、ポロシャツは許すとか、TシャツもOK、などとしてしまうととんでもない社員が登場してしまうでしょう。通常のスーツでもだらしない人がいるように、Tシャツでもちゃんと見える人、そうでない人が登場してくることでしょう。スーツを着ていれば多少だらしなくても許されてきました。しかし、それがTシャツであれば許されるどころの騒ぎではありません。
そんな結果になる前に、あまりきっちりと「これはよい、これはダメ」などと決めてしまわないほうがいいと思います。見た目は人それぞれの感性。許すか許さないかは相手の価値観。
十把一絡げにして社内でTシャツOKとか、短パン許可などと決めてしまうととんでもない結果になるかもしれません。だって、人によってはTシャツだってフォーマルに見える人もいる一方で、親しみやすい素朴な顔立ちの人がTシャツを着た瞬間、素朴な顔立ちと装いが相まって優柔不断で頼りなく、野暮ったい印象になることもとても多いのです。
体格によってもポロシャツがきちんと見えたり、だらしなく見えたりもする。着る人の個性によって印象は大きく変わります。こちらサイドの基準ではなく、相手サイドの価値観を基準としたマーケティング的装い方を徹底した方がいいでしょう。
取引先の年齢、性別、業界業種、職業、突き詰めれば性格などに合わせた装い基準を設けて教育し、それを基準にその日のクールビズの着こなしは1人1人に任せること。心配だったら服装風紀委員を任命してもいいかもしれません。
パーソナルデザインを推奨する私としては、スーツ&ネクタイという逃げ場から放り出されるこのピンチをチャンスに、今までのありきたりのビジネススタイルからいい意味で脱して、ステキに着崩した男性が増えることを切に願うところです。
最後におしゃれに自信のない男性のみなさんに一言。
節電の夏、思いっきり髪を短くしてみてはいかがでしょうか。よほどセンスがよく、スタイルに自信のある人以外は、熱がこもる長髪や厚い髪は着崩したスタイルをダサく見せてしまいます。
つまり、百貨店やアパレル業界のみならず、美容院や理容院もこの夏のスーパークールビズを商機としてうまく波に乗る! もしかすると、まったく異なる業界においても思いもよらないチャンスが潜んでいるような気がします。(唐澤理恵)
あなたは第一印象に自信がありますか?
スーツ売り場から見える社会
コスプレサミットからカワイイ大使まで――外務省のポップカルチャー外交Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
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