実はこうしたクイズのキャンペーンの答えが、2ちゃんねるで議論されることは初めてのことではない。
記憶に新しいのは2010年夏、高級賃貸に2年間タダで住める権利を暗号解読者1人にプレゼントするとした「ホームズくん史上最強の難問」が出された時のこと。
間取り図に隠された暗号を読み解くのだが、解法は「ドアから順番に部屋に入っていくと間取りが順に2畳→7畳→2畳→7畳→7畳→7畳→8畳。それを携帯で順に打ち込むと『apart』になり、さらにそれを並び変えて『a trap』と回答する」という、ノーヒントだと「そんなの誰が解けるんだ?」という難問である。
しかし、2ちゃんねるの集合知によって暗号は『apart』まではすぐに解かれ、その後の並び替えにも多くの人が気付いたようで、結局789人もの正解者が出たのである。
この状況を仕掛けた側が意図していたかどうかは分からないが、「ネットの集合知をどう扱うか」というのはこうしたマーケティングを行う上で極めて悩ましい問題だろう。そもそもオンラインゲームなどでは、2ちゃんねるでスレッドが立つだけでなく、wikiが作られて毎日数万のアクセスが集まることは普通なので、こういう状況を想定しないわけにもいかない。
エクセレント・トラッキング・クイズショーがホームズくんと異なっているのは、問題が複数あるということ。クイズの正解が公開されても、新しい問題を出していけば正解者が殺到することは避けられる。
だが、HARDまでは数個の固定した問題が使い回されているため、2ちゃんねるを見ると必ず正解できるようになっているようだ。つまり、毎回50%割引クーポンが手に入れられるのである。
「そんなに大サービスしてもいいの?」と思ったのだが、よくよく考えて「これは意図的なものではないか」という結論に至った。実はドミノ・ピザで買い物をすると必ず15%割引クーポンがもらえる。つまり、もともとクーポンを使う前提で、ある程度高めに価格を設定しているのである。50%割引クーポンも確かに大きな割引なのだが、会員登録をしてもらえるということを考えれば、長い目で見るとプラスになるとドミノ・ピザとしては見込んでいるのではないだろうか。いわば、形を変えた半額セールである。
事実、HARDまではクイズが使い回されているのだが、12枚のピザがタダになるBIG CHALLENGEだけは、クイズが解かれると(スレッドに解答が投稿されたりする)、新しいクイズを次々と投入しているようである。そうなると一か八かで12枚タダを狙うよりは、HARDで確実に50%割引クーポンをとろうという戦略を選ぶ人も多くなる。すると、BIG CHALLENGEが大きな謎として残りやすくなり、キャンペーンの寿命も長くなるというわけである。
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