ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ」
この1カ月、北ドイツを中心に新型の病原性大腸菌O104が猛威を振るっている。感染者3500人、死者は39人に上るなど、世界的にも近年まれにみる大規模感染に発展した。
6月に入り、新規患者数は顕著に減少し感染源も北ドイツで生産されたモヤシと特定されたが、収束と言うにはまだ早い。当初、感染源としてスペイン産キュウリが疑われるなど欧州全土を巻き込んだ風評被害も深刻だ。
今回の「O(オー)104」は感染性や毒性が非常に強い腸管出血性大腸菌(EHEC)で、抗生物質が効きにくく重症化しやすいという特徴を示している。1996年に日本で爆発的に拡大した大腸菌O157も腸管出血性大腸菌の1つだ。
O104は主に食べ物を介して人から人へ広がり、下痢、腹痛、血便などの症状を引き起こし重篤な場合は死に至る。腸管出血性大腸菌に感染すると、急性腎不全などにつながる溶血性尿毒症症候群(HUS)に進行する危険もある。日本ではEHECとHUSを区別しない、あるいは混同した報道が目立つが、ドイツでは症状と治療法の違いから統計上区別して扱うため、ここではそれにならうものとする。
EHEC/HUS対策について中心的役割を果たす、ドイツ健康省の医学研究機関ロバート・コッホ研究所(RKI)の最新発表要約(6月20日)は以下の通り。
対応の手引き
新規患者数は5月23日の約200人/日をピークに下がり続けている。14日には初めて子供の死亡が報告された。またわずかな数ではあるが、ドイツ南部バイエルン州のレタスからもO104が検出された。
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