コラム
» 2011年06月21日 07時58分 公開

松田雅央の時事日想:欧州を震撼させている、O104の猛威 (2/3)

[松田雅央,Business Media 誠]

風評被害

 当初感染源は不明で、それが市民の不安をさらにかき立てた。

 患者の60%は北ドイツ、特にハンブルクとシュレスビック・ホルスタイン州に集中し、国外も含めた他の患者も北ドイツを訪れた人がほとんどだった。最初はハンブルクの祭りやレストランが疑われたが、「生野菜が怪しい」ということ以外はっきりしたことが分からず、感染源は1カ月近く謎のままだった。

 ドイツ衛生当局が最初に疑いがあると発表したのはスペイン産のキュウリだ。これを受けてドイツだけでなく欧州各国が一斉に輸入禁止したたため、スペインではキュウリが大量廃棄される事態に。しかし5月31日になり、ドイツ衛生当局がスペイン産キュウリからO104は検出されなかったと発表。

 怒りが収まらないのはスペインだ。風評被害により300億円以上の損害を被ったとして、ドイツへの損害賠償請求を検討している。

 ドイツ国内では生で食べる葉物野菜、例えばレタス類の売り上げが極端に落ち込み、収穫できないものは畑上で破砕されている。農家は各種保険に入っているが、今回のケースは自然災害などではなく市場要因による被害のため、通常の保険ではカバーされない。八百屋の売り上げも一時的に50%以上減少している。

 筆者の住む南西ドイツ・バーデンビュルテン・ビュルテンベルク州(人口約1000万)で確認された患者は100人程度と比較的少数。しかも患者は北ドイツを旅行した人に限られるため市民生活に大きな影響はなく、八百屋やスーパーの野菜売り場にも目立った変化はみられない。

 先日、知人と地元レストランで食事した時のこと。知人は「この時期、サラダは止めておこうか」と言ったそばから、付け合せの生野菜を平気で食べていた。どうやらあまり気にしていないようだ。

 また昨日、行きつけのベトナム料理店で麺類を注文したところ、店員から「モヤシは入れますか?」と、このご時勢ならではの質問を受けた。

 こういった調子で「一応注意はするがそれほど心配していない」というのが、筆者の住む地方の平均的な感覚だ。

スーパーの野菜果物売り場

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