大幅高となるも、盛り上がりに欠ける展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年06月21日 16時58分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 指数は大幅高となったのですが、雰囲気的には相変らず方向感に乏しい展開となっています。米国では景況感に陰りもみられ、中国など新興国も景気拡大の勢いがなくなったかのようですが、世界的な景気の底堅さもみられ、米国の金融政策をみながら、欧州の金融政策などを気にしながらの動きとなっているようです。日本では大震災の影響でこれまで未定とされていた今期の企業業績も続々と発表され、少なくとも「ものすごく悪い」というようなこともなく、大震災からの復興期待も含めて比較的堅調な業績発表が多いような感じです。ただ、一つの企業の発表が他の企業への好印象として波及すると言うこともなく、材料には反応するものの物色の広がりなどは見られません。

 米国のQE2(量的緩和)終了後の金融政策を見極めたいという動きから、日米ともに株式市場の方向感はみられないようです。為替も落ち着いた動きとなっており、手掛かり難という感じです。売買高も少なくこれだけ動きがないと、証券会社もなかなか儲け難いのだと思います。日本証券業協会が発表したと新聞で報じられていましたが、証券会社288社のうち2011年3月期の経常損益は全体の61%が赤字ということですが、周りを見ても廃業する証券会社なども多く本当に良いサービスが提供できているのかどうか、大いに疑問に思います。

 もちろん、従来型の営業スタイルやディーリングのやり方では儲からないということなのでしょうが、本当に証券会社の顧客も儲かっているのでしょうか。従来型の対面営業も今だ健在ですが、目先的な動きについていくような投資(投機?)が主流となっているとなかなか従来型の営業スタイルでは証券会社も顧客も儲け難いのではないかと思います。また、金融感の株式投資が減少しているという記事も新聞でみられましたが、かつてバブルの頃は金融機関も個人投資家もいっしょになって「儲かる株」を探しながら投機に走ったものです。

 手数料が安いからといってインターネット証券が良いかといえば、適切なアドバイスがないとか、先日の大震災の時のように、何の躊躇もなくルールに従って処分されてしまうとかいうデメリットも考えても良いのではないかと思います。もちろん、勉強不足の証券マンの話など聞くに足りないなどという意見もあるのでしょうが、しっかりと勉強をしないと儲からない相場を相手にしているわけですから、ヘッジ手段や投資方法などいろいろと考えながら投資をする方がしっかりと儲かるのではないかと思います。投資家がしっかりと儲かる証券会社を選ぶということも必要なのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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