大幅高だが物色対象も絞り切れず盛り上がりに欠ける展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年06月29日 18時12分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことや為替が円安に振れたことから大幅高となりました。ただ、売買高は相変らず少なく指数が大きく押し上げられた割に物色の対象も絞り切れず、盛り上がりに欠ける展開となりました。ここまでの戻り相場と同様に相場のけん引役がみられず、あくまでも持高調整の売りに押された分を戻していると言う雰囲気です。節電関連や代替エネルギー関連銘柄を中心に物色するなど、物色対象がもう少し絞りきれないと盛り上がらず、ちょっとした手仕舞い売りや持高調整の売りに押されることになりそうです。

 本日も米国市場に連れて日本市場も大幅高となりましたが、先物主導と言うことでもないにもかかわらず、相変らず盛り上がりに欠ける展開となりました。市況コメントのところでも何度か述べているのですが、物色対象が絞りきれないところが、株式市場が盛り上がらない理由の一つではないかと思います。以前のバブル時の相場が良いとか悪いとかいう問題ではないのですが、自分が若かったせいもありますが当時の方が銘柄を探すにも、お客様に株を買ってもらうにも何となくドラマというかロマンがあったような気がします。原油が上昇すれば石油株が買われ、海運株が売られるなどと言うことでもピンポイントのニュースとして捉えるのではなく、トレンドとして捉え、方向感を持って毎日売り買いしていたものです。

 現在ではピンポイントのニュースに一斉に反応してその後はほとんど見向きもしなくなるということが言えるのではないでしょうか?金価格でも大きなトレンドで見たら右肩上がりが続いているわけであり、金価格が上昇してメリットのある企業などは今後も右肩上がりの収益が期待でき、じっくりと買い上がるということもできるのではないかと思います。どんなニュースでもピンポイントで終わるということではなく、そのニュースがきっかけで世の中の流れがどのように変わっていくのか、その場その場の変化について行くというよりは大きな流に乗る方が良いのではないかと思います。

 節電をしなければならないからエアコンを止めるということだけではなく、エアコンを止めるのではなくエアコンを効率よく冷やすということが重要であるように、株式市場でもニュースに反応するだけでなく、そのニュースの影響やトレンドをしっかりと見極めて投資をする必要があるのではないかと思います。ニュースに反応してピンポイントで儲かるか儲からないかではなく、ニュースの内容を吟味してのトレンドを見ることが必要ではないかと思います。トレンドを掴んで置けば多少高く買ってしまっても、安いところで買いそびれてもしっかりと利益を出すことは出来るのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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