――健康状態は?
私自身、ここ10年以上血圧が高い状態だが、薬を服用しているので大丈夫。家内も血圧の薬を飲んでいるので大丈夫だ。
――原発についての率直な気持ちは?
まだこの避難所に東電の人は1回も来ていない。南相馬市は原発に近いが、(他の周辺市町村に比べ)原発に絡んだ恩恵はほとんどない地域だった。原発さえなければ、避難することもなかった。
いつも不思議に思うのだが、私が住んでいた「20キロ圏内」だが、放射線量は(避難対象となっていない)他の区とあまり変わりはない。非対象地区がなぜ普通の生活を送れるのか。福島市や郡山市でも線量が高い地域がある。なぜ小高区の住民がこのような事態に遭わねばならないのか、不満はある。
南相馬市の桜井市長に事態打開を訴えたが、政府の定めたことなのでと言われた。なぜ小高区の住民が防護服とマスクを着用して一時帰宅するという制限を課せられねばならないのか。放射線量による避難指示という方向で、政府は見直しを図ってもらいたい。
新聞、テレビによれば、原発はまだ落ち着いていないようだ。一番心配なのは、この避難所にいつまでいることができるのかだ。妹が福島駅前に避難しているが、そこは7月いっぱいで退居するように通告された。
三条市は避難所を閉鎖することはないと言ってくれたが、いずれ避難所は集約されていくのだろう。福島県に帰る人も増え始めているので、正直なところ心細い。それに、ここでなにもせずに過ごしているのが悪いような気がしている。
菅首相はお盆ころには全員分の仮設住宅を用意すると言ったが、果たして、その通りに事が運ぶのか非常に心配している。
地震は天災だ。自家用車を取りに行った際、故郷の海岸線を走ってみた。本当に酷い状況だった。もう、なにも残っていなかった。しかし、原発事故は考えてもみなかった事態だ。この前、妻の弟の遺体が見つかった際、立ち会って火葬してきた。しかし、この(避難所生活)状況で葬式さえ出してやることができなかった。事態が正常に戻れば改めて弔うつもりだ。
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