オプションSQをにらんで先物の思惑買いで指数を押し上げて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月06日 16時17分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 手掛かり難で心理的な節目とみられる日経平均の10000円水準でのもみ合いが続き午後になってから突然に先物が買われ堅調となりました。今週末にオプションSQ(特別清算指数)算出を控えていることで、「10000円」という節目の攻防のなかで先物の仕掛け的な買いが入ったものと思います。ちょうど「10000円」という水準であることから、オプションの売りに対するヘッジの先物買いなどもあったものと思われ、指数先行という格好で相場を押し上げる展開となりました。

 日経平均は10000円乗せとなりましたが、ちょうど5月の時もオプションSQというには少し間がありましたが、休日を控えていたところで、ちょっとした材料(?)=テロの首謀者の死亡という材料にかこつけて先物買いで指数を押し上げたということで今回と同じようなパターンであったとも考えられます。節目とすれば日経平均は10200円〜300円水準が節目でありこの水準はあっさりと行き過ぎてもおかしくはないのですが、逆に考えると5月のときと同様に「オプションSQ」という特殊要因で特殊な時期だけ、あるいは1回だけでも10000円を超える必要があったということなのだと思います。

 市場を取り巻く経済的な環境に変化がみられたわけでもないのですが、世界的な景気鈍化懸念、金融不安や金融規制強化の問題、そして米QE2(量的緩和)の終了など5月からの下落の要因となっていたものが徐々に薄れたということも、あっさりと抜けたようになった大きな要因といえるのでしょう。ただ、実需的なしっかりと先を見越した、腰の据わった買い方が見られないということでまだまだ大きなもみ合いを抜けたと考えるには時期尚早だと思います。あくまでも目先的な要因といえるのだと思います。

 本日のような突然相場が急騰したというようにみえるかもしれませんがある程度予測は出来たのではないかと思います。オプションの投資家の動向、オプションに投資をするという観点でみると、先物にいつ買いを入れるかと構えているむきもいることが分かるのでしょうし、指数自体が下げにくいということも、主力銘柄で出遅れ感が強い銘柄に買いがみられるところをみると仕掛け的な買いが入り易いとみられるのではないかと思います。誰かが相場が高いと言ったとか、そういうことではなく、相場の動きは相場を見ていればわかるのではないかと思います。「相場は相場に聞け」と言うことでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


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