世界景気鈍化が懸念されて大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月12日 08時28分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>10069.53▼68.20

<TOPIX>870.16▼4.18

<NYダウ>12505.76▼151.44

<NASDAQ>2802.62▼57.19

<NY為替>80.26▼0.40

欧州金融不安の再燃や中国のインフレ昂進などからの世界景気鈍化が懸念されて大幅安

 欧州で今度はスペインやイタリアの財政問題が取り沙汰されるなど金融不安が再燃、欧州株式市場が大きく売られたことや、中国でのインフレの昂進から景気鈍化懸念が強まったことなどから売りが先行、目先的な過熱感が強かったこともあって手仕舞い売りを急ぐ動きもあり大きな下げとなりました。先週末の雇用統計も予想を下回ったことで景気に対して懸念が強まり、決算発表が始まる前に早めに手仕舞うという動きも出たのだと思います。

 あくまでもまだ世界的な景気鈍化に対する「懸念」に反応している状態で、急激な戻りに対する反動ということだと思います。QE2(量的緩和)終了での資金の供給量が細るとの懸念が薄れて逆にリスク許容度を一気に拡大した反動ということだと思います。ただ、欧州での金融不安が資金の供給を細らせるようなことになる、つまりリスク許容度を低下させる=信用収縮となることがあれば、さらに下落が続くことになりそうです。ただ、欧州金融不安にしてもまだ「懸念」の段階であり、ここでの下落は過熱感を冷ますという段階だと思います。

 個別には欧州での金融不安が強まったことで、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が大幅下落となり、リスク許容度の低下などから原油や金の先物価格が下落となったことで、エクソン・モービルなどの石油株、パブリック・ゴールドなどの金鉱株が売られました。中国のインフレ懸念から世界的な景気鈍化懸念が強まり、アルコアやキャタピラー、GE(ゼネラル・エレクトリック)なども売られ、決算発表を控えたアルコアは一時大幅下落となりました。引け後に発表された決算は好調で時間外取引では堅調となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株安や中国のインフレ懸念などから売り先行となりました。それでも外国人が引き続き買い越し基調ということや週末のヘッジ売りの買戻しなどから底堅く戻りを試す場面もありました。ただ、上値を買い上がるだけの材料もなく戻りの鈍さを確認すると指数は小動きとなりました。後場に入って下げ幅拡大となる場面もありましたが、売り急ぐ動きもなく方向感に乏しい展開が続き、軟調な展開となりました。

 週明けの米国市場が大幅安となったことから、日本市場も大きく売られて始まりそうです。目先的な過熱感が強かったことや上値の節目とみられる水準まで戻っていた事からの達成感もあり、手仕舞い売りを急ぐような場面もありそうです。主力銘柄の水準訂正の動きも一段落となるのでしょうし、幕間つなぎ的に小型銘柄の値動きの良い銘柄などは買われるのかもしれませんが、材料含みで買われていた銘柄なども手仕舞い売りに押されることになりそうです。業績面から割安感が強い銘柄に底堅さはみられるのでしょうが総じて値動きの悪さを嫌気することになりそうです。

 日経平均は昨日はかろうじて10000円という心理的な節目を保つ動きになりましたが、あくまでも心理的な節目という水準で、本日はあっさりと割り込みそうです。上値の節目を確認したことで、今度は再度下値の節目を確認するように9800円〜900円水準での底堅さを試す動きになるのだと思います。ローソク足の形も本日の寄付きが軟調となれば調整ということになり騰落レシオなどから見ても過熱感が強いことから、先週末の高値が当面の高値という感じで調整となるのだと思います。

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