米国株が大きく売られたことを受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月12日 16時12分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が先週末の芳しくない雇用統計、そして欧州での金融不安、中国のインフレ懸念からの世界的な景気鈍化懸念などを受けて大幅下落となったことから、日本市場も大幅安となりました。売り先行で始まった後は底堅さもみられたのですが、一段とユーロが売られると利益を確保しようというような売りも多く、さらに値を下げるものが多くなりました。目先的に過熱感も強かったことで、少し下がっただけではまだ調整不十分ということで買い難いということのようです。

 大幅下落となりましたが、後場に入ると指数は小動きとなりました。指数が1%下落すると日銀がETF(上場投信)を買ってくるといわれていることもあり、売り急ぐ動きもなく、ただ、実際に買いが入るのを見届けるまでは自分からは動きたくないということのようで方向感のない動きのない展開となりました。日銀が買うから買うというのも考え方によっては変な話であり、昨年や今年の3月の為替の介入にみられるように一見、ある水準になったから介入が入ったようにみえて、その実、大量に売りたいから介入をしたということでもわかるように、日銀のETF買いも水準で買っているのもあるのかもしれませんが、売りが出るから買うということなのかもしれません。

 このように、その表面的な動きだけを見て、○○だから、と判断するとそのあとの相場、あるいはそのあとの同じような展開になった時に大きな間違いをしてしまうこともあるのです。以前、証券会社の手口がリアルタイムで見れた時などもあまりにその手口にこだわり過ぎて大局が見えず、失敗する向きも多かったような気がします。先物やオプションでも手口がわかるだけに逆に惑わされてしまったり、勘違いしてしまうということもあるのです。

 ただ、そうかといって目先的な値動きばかりをみていてもその本質がわかるわけでもなく、やはり相場の流れなどを総合的に判断していろいろなことをみていかなければならないと思います。たまたま2〜3回同じようなところで同じような展開になったとしてもまた次もそうなるとは限らないわけで、いくつかのパターンを考えておいたり、しっかりと見極める必要があるということでしょう。ニュースなどもそうで、目先的に飛びつくという方法も良いのでしょうが、ダメと思った時に、あるいは勘違いと思った時にすぐに手仕舞うというつもりでやらないと大きなけがをしてしまうと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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