欧米株安、円高にも関わらず堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月13日 16時19分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が軟調となり、大きく円高に振れたことから、売り先行となったものの、寄り付きの売りが一巡となった後は底堅さもみられ、為替が円安に戻って来たことから堅調となる場面もありました。後場に入ってからは中国のGDP(国内総生産)の伸びが予想を若干上回ったことが好感され、買い戻しを急ぐ動きもあって上げ幅を拡大、堅調となりました。欧米株が軟調、大幅安となった割に堅調といえるでしょう。ただ、まだ物色対象も絞り切れず、何だか盛り上がりに欠ける展開となりました。

 最近また、「株式市場がつまらない」というような話を良くききます。指数が上がっても売買高も増えず盛り上がらないところをみると、さもありなん、という感じです。インターネットを利用した株式の売買が主流になってから、投資する株式の研究などということをしなくなってしまったのではないかと思います。そして、円高の時はどうした、とか円安傾向だとこういう株だ、などと外部環境や金利情勢、そして海外投資家の動向、投資傾向などなどをみながら投資する銘柄を探したりしたものです。

 また、チャートをみながら、いくらになったら買えるとか、今日の引け値がいくら以上だったら買いだなどと考えることも良くありました。そうした「研究」ももちろん行なわれてはいるのでしょうが、公募を発表したから、とか、中国関連銘柄だからなどと目先のニュースに飛びつくようなことも多いのではないかと思います。いつも述べているように世界の大きな流れを考えれば、どのような業種、そしてどのようなビジネスモデルの企業が今後業績を大きく伸ばしていく可能性が高いのかなどを考えて投資するというのが投資の醍醐味ということなのではないかと思います。

 もちろん、とにかく儲けなくては話にならないということで、競馬やパチンコと同じような感覚で売買している人も多く、それもまだ流動性の供給という意味でも良いことなのでしょうが、株式投資とは分けて考えていくべきではないかと思います。そして、また、これもまたいつも述べていることですが、頻繁に売買するというメリットは手数料が下がったことなどで得ることができたわけですから、投資=つまり、保有することに対するメリットをもっと考えてみるべきでしょう。また、対面営業の場でも株式を勧めることはほとんどなくなったようですが、もっと株式を手軽に勧められるような仕組みにすることも必要なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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