QE3期待がしぼみ軟調、ナスダック指数は大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月15日 08時32分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9936.12▼27.02

<TOPIX>856.88▼3.65

<NYダウ>12437.12▼54.49

<NASDAQ>2762.67▼34.25

<NY為替>79.14△0.28

好材料はあるものの、QE3期待がしぼみ軟調、ナスダック指数は大幅下落

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想以上に減少となり、懸念された雇用悪化が薄らぎ、小売売上高も前月比で減少するとの予想を上回って2カ月ぶりにプラスに転じ、財政赤字削減での議会との合意が伝えられるなど好材料が多く、為替も落ち着いていたのですが、FRB(連邦準備理事会)議長がすぐにQE3(量的緩和=新たな国債買い入れ)に踏み切るわけではないと示したことが嫌気されて売られ、軟調となりました。ナスダック指数はハイテク銘柄の業績への懸念もあって売りが嵩み、大幅安となりました。

 QE2のおかげでここまで株価も上昇したとの気持ちが強く、QE2終了と同時にQE3に対する期待が膨らんだものと思います。ただ、経済指標も悪い悪いといわれながらも、決定的に悪化しているということでもなく、企業決算の発表が本格化していく中で、足元の業績がしっかりとしていることを確認しながら市場も堅調な展開になってくるのではないかと思います。為替の落ち着きを見ると、国債格下げの影響は大きくはないと思われます。

 個別には国債格下げの問題などからバンク・オブ・アメリカなど金融株が軒並み軟調となりましたが、JPモルガン・チェースは予想された以上の業績回復が評価されて買われ、ダウ平均採用銘柄の中で一番の値上がりとなりました。同様に好調な決算を発表したマリオット・インターナショナルは慎重な業績見通しを示したことが嫌気されて売られ、軟調となりました。会社分割を発表したコノコフィリップスも経営の効率化が期待されて買われました。QE3期待がはげたことや商品相場が総じて軟調となったことで、ボーイングやアルコア、デュポン、キャタピラーなど景気敏感銘柄が軒並み売られ、インテルやアップル、IBMといったハイテク銘柄も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は方向感に乏しい展開となりました。米国株高、ユーロ高にも関わらず米ドルが軟調となったことなどを嫌気して売りが先行、下値の底堅さを確認して戻りを試し、上値の重さを確認して軟調となるという展開で方向感は見られませんでした。瞬間的に為替が円安に振れて堅調となる場面もあったのですが、すぐに上値を押さえられて、軟調となりました。為替に敏感に反応するものの、決定的な材料には乏しいという感じでした。

 米国市場が軟調となったことから本日の日本市場は売り先行となりそうです。為替は落ち着いているものの、欧州金融不安だけではなく、米国での財政問題なども取り沙汰されており、週末ということもあって積極的に買い上がる動きにはなり難いと思います。下値をむきになって売り叩くほどの材料にも乏しく、底堅さも見られるのでしょうが目先的な過熱感を冷ますような冴えない展開となりそうです。原子力発電関連銘柄で大きく売られて銘柄などは買戻しもみられそうで、代替エネルギー関連銘柄などが幕間つなぎ的に物色されるのだと思います。

 日経平均は引き続き節目とみられる9800円〜900円水準での底堅さを確認する動きが続くのだと思います。10000円という心理的な節目での上値の重さが確認されただけに下値の底堅さを確認しつつ過熱感を冷まし、諸々の懸念材料に解決の兆しがみられるとか、決算動向などを睨みながら上値の節目である10200円〜300円水準を目指すことになりそうです。懸念されている諸々の材料がさらに悪化するようであれば、次の節目である9500円〜600円水準を試すことになるのでしょう。

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