3連休を控えた週末ということで上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月15日 16時17分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 日本市場では3連休を控え、米国株が軟調となったことから売り先行となりました。ただ、懸念された為替が落ち着いていることや外国人が引き続き買い越し基調となっていることで寄り付きの売りが一巡となった後は切り返し堅調となりました。特に買い戻しを急ぐ材料があったということでもなく、手仕舞い売りが嵩むと日銀のETF(上場投資信託)買いが出るのではないかとの見方もあり、売り難い中で好材料に反応するものや目先の値動きの良さを好感する動きとなったものと思います。積極的に買い上がる動きもなく、指数は小動きでしたが、予想外に最後まで週末の手仕舞い売りやヘッジ売りに押されることなく値持ちの良い展開となりました。

 米国債の格下げなどが取り沙汰されていますが、サブプライムの時と同様に格付け会社のコメントなどが市場を混乱させているのではないかと思われます。格付け会社のコメントや格付け変更に過剰な反応となっていることもあり、あまりにも反応が一義的なのではないかと思われます。格付け会社を格付けするなどという話もサブプライムの混乱の時に出て来ましたが、格付け会社の格付けの尺度をもっと明示する必要などもあるのではないかと思います。

 アナリストの投資レポートほどいいかげんということはないと思うのですが、格付けの変更に右往左往しなければならないことを考えると、リスクに対する見方というか尺度というか、そういった見方を考え直した方が良いのではないかと思います。昨日も投資の利回りを計るのに対ベンチマークで計るのはどうかという話をしましたが、格付けやアナリストレポートももっと客観的な数字で示すようにするなどの工夫が必要ではないかと思います。

 そして何より、投資家がそうした尺度のはっきりしない指標に右往左往させられないようにするだけのヘッジ方法や投資方法を考える必要があるといえるでしょう。サブプライムローン問題であれだけ格付け会社に振りまわされ、ITバブルの時にはアナリストの恣意的なレポートに振り回されたにもかかわらず、また、ここでソブリンリスクに関して、格付け会社に振り回されなければならないのでしょうか。市場というのは究極的に需要と供給の量や質で成り立っているもので、恣意的に動かされるものではないと思います。権威を振りかざしたからといって市場がどうなるものでもないのです。そうしたことはノーベル経済学賞を受賞した学者の作った会社が倒産してしまったことでもわかると思います。相場と言うのはそういうものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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