アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。
本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2011年7月20日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。
携帯各キャリアは現在、30〜40機種の端末を販売しているが、そのうちの10機種ほどがスマートフォンになってきている。NTTドコモの2011年夏モデルの例でいえば、全18機種中9機種がスマートフォンだ。しかも、そのうちの8機種がAndroid。ほんのちょっと前までは、スマートフォンといえばiPhoneしかなかったのが、いまやAndroidのオンパレードである。
そのAndroid関係のイベント(日本Androidの会主催の「Android Bazaar and Conference 2011 Summer」、参照リンク)に、参加させていただいた。きっかけは、同イベントの事務局長である平出心さんとお話ししていたときに、「いまAndroidってやばいんじゃないか?」と言ってしまったことだった。
「やばいんじゃないか?」というのに、否定的な意味はない。Androidがいま、誰も経験していない領域に入りつつあることを意味している。ならばこのあたりで一息、立ち止まって周りを眺めてみてもよいのではないだろうか。そういうことで、カンファレンスの1コマをお借りすることになったのだった。
1990年代半ばに、「PDA」(Personal Digital Assistance)として一世を風靡した「Palm」という端末と「PalmOS」というプラットフォームがあった。わたしが担当させていただいたセッションには、そのPalmの世界で“神様”と呼ばれた山田達司さんにご登壇いただいた。Palmや、その周辺のモバイルの歴史について、キモになる部分を語ってもらおうというわけだ。
同セッションでは、「Android開発者のためのモバイルの歴史(初級)」といった感じの内容で、「Palm → BlackBerry → iPhone → Androidの次はどれだ?」というトークを1時間ほどさせていただいた。テクノロジーの世界こそ、歴史に学ばない者は、やがて去っていくことになるのだと思うからである。
そのセッション用に、「モバイル進化系統樹」というダイヤグラムを書いてみた。これに似たものは探せばどこかにあるのかもしれないが、時間もないのでと思いつくままに線で結んでいたら、セッション前日の夜中までかかってしまった。
そんなわけなので、大きな抜けや勘違いもあると思うのだが、とりあえず作ってみたのが次の図である(当日使用したものを若干修正してある)。
モバイルの元になった要素は、図の左側にある「MacOS」や「電子手帳」、「Windows」、「HP電卓」、「Walkman」あたりだろう(水色のボックス)。一方、図の右側が現在のプラットフォームである「iPhone」(iOS)、「Android」「Blackberry」「Windows Phone 7」「WebOS」だ(緑のボックス)。
この2つの要素の間で、だいたい20年の間に“あやとり”のような流れで成立したのが、いまのスマートフォンなのだ。
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