消去法的な日本買いも見られて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月26日 21時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が軟調となり、外国人も売り越しと伝えられたのですが為替が落ち着いていたことや主力銘柄の好決算発表がみられたこともあって買い先行となりました。いったん、買い一巡となった後は上値の重い展開となり、上値の重さを嫌気した売りに押され、米大統領の演説が期待外れとなったこともあり、売りが嵩んで軟調となる場面もありました。ただ、午後になって更に好調な業績を発表する主力銘柄などがみられたことから、円高にも関わらず好決算が期待される銘柄などが物色されて堅調となりました。円高の影響も限定的との見方も多く、為替や米国市場動向に関係なく買われ、堅調となりました。

 相変らず政局の混乱は収拾がつかない感じですし、為替に対しても何ら策も講じない政府に対し、個々の企業は超円高、大震災の影響を払拭して好調な決算を発表しています。4−6月期が恐らく業績面でボトムではないかと思われていたのですが、正確には4月が底値になったような勢いで、4−6月期も底堅い決算となっています。加えて大きく円高が進んだのですが、折しも「6重苦」と言われるなかで海外での生産、海外での販売ということで円高に対する抵抗力も強まっており、業績上振れとなる企業が多いと思われます。幕間つなぎ的に買われている銘柄も散見されますが、素直に好決算に反応する動きもでています。

 欧米の財政問題などもあり積極的に買い上がれないのですが、これまでと違って、円高=株売りという図式でもなく、円高=日本買いという単純なことでもなく、円高に対する抵抗力というか為替の感応度が低下しているということなのだと思います。あとは復興需要も含めて、1985年のプラザ合意の後のように、内需拡大の中で資金の回転がいろいろな局面で効いてくれば、株式相場も大きく上昇となるのでしょう。欧米の債務問題が資金の委縮につながり、中国などのインフレ懸念がさらに資金の委縮につながると日本だけでの内需拡大では限りがありますが、海外での資金の流れが滞ることがなければ、日本でもデフレ脱却、景気拡大が期待されます。

 内需拡大と言っても、かつての内需一辺倒ということではなく、為替抵抗力が付いた企業の内需という部分も期待されそうです。海外でしっかりと稼ぎ、その資金で海外から日本に材料を輸入し、日本国内で加工、消費するという流れが一つ見えて来ると円高ということが内需拡大につながって、デフレ脱却にもつながってくるのではないかと思います。政策の方向感さえしっかりと示していけば、大震災からの復興需要などに絡めて内需拡大、デフレ脱却となってくるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


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