が、「四の五の言わずに、この傘を持っていけ」というような指示を、ついしてしまいがちです。空の状況、雨降りの予測、これが自分には見えているし、大体そうなるものなのだから、その部分はすっかり省略した上で「この傘を持っていきなさい」と。
雲が出てきたことも、雨が降りそうなことも知らない子どもに、素晴らしい機能とデザインの傘を持たせているのと一緒です。メンバーは「なぜこの傘を持って歩いているのだろう」という疑問が日々大きくなっていきます。ところがマネジャーは「俺の言う通りになるからとにかく頑張れ」と言う。「やっていればうまくいくはずなのに、どうして頑張らないんだ」と言う。
怖いのは、このようなマネジメントが全社的に浸透してくると、「空の様子を見る、雨の予測をする、どんな傘を持っていくかまでは“ウエ”が考えることだ」という思考停止組織になっていくこと。空の様子やこれからの天気を自分で考えることなく、「どんな傘を持って歩くかを決めてもらえれば、そこから先は頑張って歩くのは得意ですよ」というようなことを、幹部クラスが口にする会社もあります。
その意味で、「空はどうなっていますか、天気はどうなると思いますか、なぜその傘を持っているのですか」に答えられる人の割合と内容の一貫性は、その組織の活性度、健全性や将来性を計る格好の目安と考えます。(川口雅裕)
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