欧州金融不安や世界的な景気鈍化懸念が強まり大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月05日 08時44分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9659.18△22.04

<TOPIX>826.36▼0.39

<NYダウ>11383.68▼512.76

<NASDAQ>2556.39▼136.68

<NY為替>78.87△1.81

欧州金融不安や世界的な景気鈍化懸念が強まり大幅安

 欧州で財政問題が取り沙汰されたことやECB(欧州中央銀行)総裁が欧州景気について悲観的な見通しを示したことから売りが先行、世界的な景気鈍化懸念が強まり大暴落となりました。朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を下回りましたが、全く材料視されず、金や原油の先物が大きく下落となるなど信用収縮の動きもみられ売りが売りを呼ぶ格好で大きな下落となりました。欧州で金融不安が高まったことでリスク許容度が低下一斉に手仕舞い売りが出たということだと思います。

 決定的な売り材料がみえないなかでのスパイラル的な、資金の逆流からの大きな下落が非常に不気味です。これが信用収縮懸念からの一過性の売りということであればいいのですが、センチメントが完全に下を向いている中では金融政策面での支援が必要ということだと思います。「FRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれる」というような安心感を示すことが出来れば、QE3(量的緩和)などに言及が見られれば相場も反転となってくるのだと思います。

 個別には世界的に景気鈍化が懸念されるなかで、キャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄が軒並み大幅下落、インテルやアップル、IBMなど業績などを関係なくハイテク銘柄なども売られて大幅安となるものが目立ちました。原油価格の急落を受けてエクソン・モービルやシェブロンなど石油株も軟調、ニューモント・マイニングなど鉱山株も売られました。ウォルマートやホーム・デポなど消費関連銘柄やコカ・コーラなど業績好調とされる銘柄も軟調となるものが目立ちました。欧州金融不安も取り沙汰されたことから、バンク・オブ・アメリカやシティグループ、JPモルガン・チェースも大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高などを受けて買い先行となり、為替介入があったことから一時大幅高水準まで買われました。ただ、外国人売買動向も売り越とされたことや米国経済指標への懸念も根強く、上値も限定的、TOPIXはマイナスとなりました。好調な決算発表などもみられ、日銀の追加の金融緩和も発表され、大型M&A(合併・買収)の話題などもあったのですが、買い気の乏しいなかで冴えない感じでした。

 米国株が大幅安、世界的な景気鈍化懸念が強まったことから日本市場も下値を試すような展開になりそうです。週末の米雇用統計なども気になるところで、少なくとも持高を大きく増やすというよりはヘッジの先物売りや手仕舞い売りが嵩むものと思われます。為替も介入の割には円高が是正されず、金融政策の効果が疑問視されてしまうようであれば、売り急ぐ展開になりそうです。足元の決算が比較的好調なものも多いのですが、とりあえずは「株を売る」ということになりそうです。ただ、業績面不安の少ない内需関連銘柄などは底堅さがみられるものと思います。

 下値の節目とみられた水準を次々と割り込んでしまいそうです。9500円〜600円水準での底堅さが確認できると思われましたが、米国株安を受けてさらに下値の節目である9200円〜300円水準を目指すことになるのかもしれませんが、円高進展の懸念が薄れ、世界的な景気鈍化も杞憂に終わるようであれば、持ち高調整の買戻しなども見られてすぐに9500円〜600円水準までは戻ることになりそうです。景気鈍化が鮮明になっても、この水準からは大きく売られることはないと思います。一過性と見るのであればコールオプションの投げ売りを買っても良いかもしれません。

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