米国株の大幅高とGDPが予想を上回ったことから大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月15日 16時09分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が大幅高となり、為替も落ち着き始めたことから日本市場も買い先行となりました。景気鈍化懸念や金融不安から売られたものの、米国小売売上高や個別企業の決算は好調で買い戻しもみられたのでしょうし、日本市場でも先週まで特に業績の悪化が鮮明になったわけでもないのに大きく売られていた主力銘柄、輸出株等が買い戻しも交えて買われ堅調となり、指数を押し上げる要因となりました。まだまだ円高という水準でもあり、世界的な景気鈍化懸念や金融不安がくすぶっているので、積極的に買い上がる動きもないのですが、朝方発表されたGDP(国内総生産)が予想を上回るなど、目先の需給が改善すれば特に売り急ぐ理由もなく、堅調な地合いとなりました。

 株価は景気動向に先行するといわれ、株価が下落していると好業績にも反応し難い場面も多くみられます。米国市場でも景気が鈍化しているとか、景気が悪い等といわれているのですが、実際に芳しくない経済指標は多分にセンチメントを示すものが多く、実際に経済活動での生産や販売等の指数は決して悪くはないと思われます。雇用統計にしても、失業率は高止まりといわれていますが、すでに最悪期は脱しており、非農業部門の従事者数も増加傾向には変わりありません。もちろん、こうした数字が悪化してから株を売っていたのでは売り遅れてしまうのでしょうが、実際には景気もそれほど悪化していないのではないかと思います。

 高級百貨店の業績が良いとか、日本でも百貨店の売り上げなども想定されたよりは良い状況となっており、大震災の影響も思ったよりは少ない企業が多く、今期の業績にしても順調に回復しているとみても良いのでしょう。ただ、逆に株価が下落することで投資だけではなく、購買についても萎縮して倹約、節約となってくる(いわゆる「逆資産効果」)と株価の下落が景気の足を引っ張ることになりそうです。増税が取りざたされているのですが、ここで本当に増税をするとさらに委縮して株価も下落、スパイラル的に不況となってしまいそうです。

 お金を使うことが悪いような風潮にあり、倹約ばかりがもてはやされてしまうと資金の流れが滞り、景気も停滞してしまうのではないかと思います。増税というよりもやはり、バラマキを辞めて資金が流れるようにしたら良いと思います。無理がある数字であることはわかりますが、計算上は消費税を1%増税するのと販売価格を20%上昇させるのと、単体の税収という意味では同じことになります。株価が景気の先行指標というのであれば、株価を上げれば景気が良くなるのでしょうし、少し発想を変えてみるということも必要ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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