みなさんがどちらを選ばれたのかは分かりませんが、その選んだ基準こそが「判断基準」で、その判断基準を生み出したのが「利用シーン(どう使うかというニーズ)」です。
私の場合、下記のようになります。
私の場合は、子どもと遊びながら食べる食事が好きです。「ガオー」と言いながら、子どもと恐竜ごっこなんかできると、きっと楽しいなあと思います。
子どもが喜びそうかどうか? 一緒に遊べそうかどうか?
つまり、「楽しい食卓」という箸の利用シーンが2つの判断基準を生み出し、その基準を満たすかどうかを考えた結果、ダイナソーチョップスティックを選んだことになります。
読者のみなさんもそれぞれの意見があって、それぞれの利用シーン、判断基準があると思います。その上で、どちらかの箸を選ばれたのだと思います。じゃあ、この2つの箸、どちらの箸の方が差別化できているのでしょうか? このあたりを少し考えてみましょう。
強みといえば、「ウチの会社は同業他社の●●株式会社よりも××がいい!」というような、自社から見た同業者比較であることが多いです。確かにそういう目線で見れば強みになるし、事実なんだと思います。
しかし、この箸の例から分かることは、「強みを決めるのは顧客の持つ利用シーンとその利用シーンから生まれる判断基準」であって、「あなた」ではないということです。「顧客の判断基準をより満たしているかどうか?」が「強み」というわけです。
今日現在、私の判断基準ではダイナソーチョップスティックの方が強かったです。それは、私の「子どもと楽しい食事ができるかどうか?」という判断基準をダイナソーチョップスティックの方が「満たしている」からです。
逆に「しつけ」を重要視する家庭では、「行儀よく食事ができる箸かどうか?」が判断基準となり、エジソンの箸が選ばれます。
さらに「しつけ」を重要視する家庭でも、「スプーンやフォークではなく箸で食べる練習をする」という利用シーンでは、「子どもが箸を使うかどうか?」が判断基準になります。そういう場合は、もしかするとダイナソーチョップスティックが選ばれるかもしれません。「ママ、このお箸、恐竜さんがいる〜」と言って、楽しく「使ってくれる」かもしれないからです。
つまり、差別化できているか、できていないかを決めるのはすべて顧客であり、そしてその決定要因こそが、利用シーンから生まれる判断基準というわけです。
判断基準次第では、強みが弱みになることもありますし、弱みが強みになることすらあります。そのため、あの会社に比べてウチはここが弱いとかここが強いと考えるのではなく、顧客がどういう判断基準を持っているのかを考え、「こういう判断基準を持っている人には、当社のこの強みが生きる」と考えた方が「戦略的」です。
なので、強みの定義とは同業他社との比較ではなく、「顧客の利用シーンから生まれる判断基準をどれだけ満たしているか」だと思います。(荻野永策)
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング