当然、CO2をはじめとする温室効果ガスの測定も行われている。こちらは一貫した増加が続いており、2004年時点で歯止めのかかる兆候は見られない。
ユングフラウヨッホ観測所によれば、1933年から2003年までの70年間に当地の気温は0.9度上昇した。こういった傾向は世界で最も権威ある温暖化問題の研究機構である「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のデータとも一致する(関連記事)。
ユングフラウの麓、アイガーグレッチャー駅(登山鉄道)のレストランで働く男性によれば、店のテラスから見える氷河はこの10年で長さ約50メートル、20年で約100メートルも短くなったそうだ。アルプスの雄大な眺めと日常生活では見ることのできない氷河を期待して来る観光客は多い。温暖化による自然環境の変化は観光業にとっても大損失だ。
「温暖化は(私もお客さんも含めた)皆に責任があります」と従業員の男性。年々細りゆく氷河を目にしている彼の表情はさえない。いまさら書くのも気恥ずかしいが、すべての人が立場を超えて取り組まなくてはならないのが大気保護である。
ユングフラウヨッホにおけるCO2とN2Oの大気中濃度(1986-2004年、出典:Zwischen Himmel und Erde, Jungfraubahn)
ユングフラウヨッホの気温変化(1933-2003年)。0.9度の上昇(出典:Zwischen Himmel und Erde, Jungfraubahn)
ユングフラウの頂と氷河の先端。アイガーグレッチャー駅のレストランからの眺め。20年前は氷河がおよそ100mも長かったという。ここから氷河が見られなくなる日はそう遠くない
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