コラム
» 2011年10月06日 22時45分 公開

「iPhone 4S」と「Kindle Fire」、どっちがスゴい?遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(3/4 ページ)

[遠藤諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

Kindle FireがイトーヨーカドーならiPadはTSUTAYA

 199ドルでバラまくような端末は、さぞかし安っぽいのではないかという意見もあるかもしれない。ほぼ間違いなく、Kindle FireよりもiPadのほうが優れたユーザーインタフェースを備えているに違いない。Androidも、次第に洗練されていくだろうが、現時点ではiOSのほうがシンプルで分かりやすいからだ。だが一方で、洗練されたユーザーインタフェースが必ずしも使いやすいとは限らないと思う。この点において、iPadはKindleの足下にも及んでいないと言っても大げさではない。

 Kindleを使い始めて多くの人が最初に驚くのは、電子書籍がKindleの中に入っていくプロセスだ。普段本を注文しているような調子で、AmazonのWebサイトで電子書籍を買うと、ほとんど気が付かないうちに自分のKindleに書籍が入っている。その仕組みを、同社は「Whispernet」(ひそひそネット)と呼んでいる。ユーザーは、自分のKindleにSIMが入っていることも、通信機能があることすら知らなくていい。

 iPadとKindleの違いは、とても優れた最新式の洗濯機と、電話一本で来てくれるクリーニング店のようなものではないか。

 要するに、Kindle Fireは、ほかのAndroidタブレットのようにマニアックではなく、iPhoneやiPadよりもさらにベタなのだ。実際、Kindleは、本や雑誌、書籍、音楽や映像も扱うが、家具や雑貨にAV機器、ほうれん草やオムツまで扱うイトーヨーカドーのようなものである。一方のiPadは、いまのところコンテンツを売る専門店のように見える。領域としてはTSUTAYAのような感覚である。

 このようなことを考えると、今後アップルは「iOSをハードウェアから独立させるのか?」ということが気になってくる。

 アップルは、iPhoneやiPadとiPod touchというハードウェアの製品ラインに対して、iOSを使っている。しかし、いまや1.5インチのiPod nanoのようなものから駅前の巨大デジタルサイネージまで、世界は画面で溢れている。教育分野に強いアップルとしては、電子黒板や電子教室といったものも無関係ではないはずである。テーブル状のディスプレイや映像機器などに、iOSが使われてもいいだろう。

 iOSをさまざまなデバイスに、自由に入れて使えるようにはしないのだろうか? 本来のソフトウェア的な意味では、iOSはハードウェアから独立しているのだろうが、アップルがそういった使い方をするかどうかである(いまのところ、端末が固定されているところにiPhone、iPadの価値があるとも言えるが)。

 1年ほど前、私は「Androidは情報端末で、iPhoneはプレイヤー」なのだと言った(関連記事)。しかし、これはあくまでスマートフォンとしてのAndroidの話である。Amazonは見事にメディアマシンとしてKindleを使いつぶすつもりでいる。Androidでは、そうしたことが可能なのだ。

 実は、こうしたAndroidの使い方は、むしろ日本でさかんに言われていたことである。事実、10月4日から幕張で開催されているCEATECでは、そんなふうに日本メーカーがAndroidを使っている例をいくつか見られて楽しかった。分かりやすい例は、東芝のREGZA Tabletである。

 一説には、同社はタブレットに参入するにあたって、ユーザー調査を行ったそうだ。するとメールやWeb、アプリ、電子書籍といった、本来のタブレットの使い方に期待するユーザーは思いのほか少なかった。ところが、居間にあるテレビの映像を自分の部屋やベッドの上で見たいというニーズは、かなり高かったそうなのだ。そのために、同社はHD映像を無線で送れる、タブレットに最適なフォーマットにダウンコンバージョンして送る機能を、レコーダー側に付けた。

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