「iPhone 4S」と「Kindle Fire」、どっちがスゴい?遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(1/4 ページ)

» 2011年10月06日 22時45分 公開
[遠藤諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

「遠藤諭の『コンテンツ消費とデジタル』論」とは?

 アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

 本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2011年10月5日に掲載されたコラムを転載したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。


 新しいiPhoneが発表されたが、IT業界は、ジョブズ後のアップルがどう動くかの方に注目している。というのも、ライバルのひとつであるAmazonが、9月下旬にタブレット端末「Kindle Fire」を199ドル(約1万5000円)で発表したからだ。アップルのiPadは、言ってしまえば“ただのタブレット”だが、Kindle FireはAmazonの売り場そのもので、「ベゾスこそビジネスを知っている」という論調も出てきている。

 物理的な画面の滑らかさやタッチの反応の良さを重視するアップルとしては、iPhone 4からiPhone 4Sへの進化は順当なものだろう(私は、iOSは「『紙』の終えん」というモチベーションで動いていると思っている)。それよりも、このiPhone 4SやiPadと、Kindle Fireとを比較することで、いまのデジタルの状況の一端が見えてくると思う。

 iPhone 4Sについては、あちこちで詳しく報じられているので、そちらをご覧になっていただきたい。問題は、Amazonがアップルに突きつけた「Kindle Fire」とはどんな端末なのかということである。

 私がいま持っている第2世代のKindleは、モノクロの電子ペーパーを使った地味な端末だ。一応、Webブラウザを搭載していて、ご存じの方は少ないと思うが、日本とメキシコと香港だけは通信料無料でブラウジングできた(少なくとも私が購入した2009年10月頃には)。しかし、動作スピードの点や、豆粒のようなQWERTYキーボード、またタッチ操作ができないなどの点で、とても使う気になるものではなかった。

 だが、最新モデルのKindle Fireは、映像も音楽も電子書籍もキビキビ楽しめ、一般的なAndroidタブレットと同等のパフォーマンスを発揮する。画面サイズは7インチだから、ちょうどサムスンの「Galaxy Tab」や「HTC Flyer」、「DELL Streak 7」のような端末と考えてよいだろう。

 米メディアが書き立てているのは、AmazonがKindle Fireを赤字で出荷するだろうという憶測である。Kindle Fireをそのようなかたちで提供しても、ユーザーがこれを使ってAmazonで買い物をすることを期待しているという見方だ。アップルが、iTunes Storeで音楽などを売っていても、収益はハードウェアで得ていると言われるのとは対照的である。

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