自分に明らかに問題がある場合は、素直に非を認め、直ちに改めるべきである。だが、その時も、必要以上に「自分はダメなんだ」と自虐的にとらえないほうがいい。
自虐的にとらえる人は、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人に、ピエロにされる可能性がある。ピエロとは、みんなの前で茶化されたり、ほかの社員のミスの尻拭い的な仕事をさせられたりと、いいように使われることを意味する。つまりは、いじめを受けているのだ。
私が観察していると、自虐的にとらえる人は耐えて、その苦境を抜け出そうとする。その考え方は理解できなくもない。だが、自らの意思を表明しないと、状況を抜け出すことはできないだろう。
意思を伝えるとなると、自虐的にとらえる人は一転して、相手に「おい、お前」などと感情的な対応をすることがある。中には、キレてしまうことすらある。これでは、一段とピエロのような扱いを受ける。
人間関係の処理が下手で、コミュニケーションが不器用だから、普通に人と接することができないのだろう。極端な自虐か、極端な自己主張のどちらかになりがちなのだ。双方とも自分の姿が見えていないのだろう。
こういう状況から抜け出す、私なりのアドバイスはまずは意思を相手に伝えること。例えば、「ピエロにされて不快だ」という具合に。ただし、冷静に伝えたい。最初はうまく言えなくてもいい。言っても効果がないこともある。それでも、伝えよう。その繰り返しで、心の中で成功体験、つまり、「自分はここまで言えた」と思えるようになる。
そこまでたどり着ければ、大丈夫だ。その後も、冷静に自分の意思を伝え続けたい。そうすれば、ピエロのような扱いを受けなくなる。このようになると、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人は近寄ってこない。
「『常に自分は正しく、相手が悪い』が招く結末」は、みじめなものだ。一方で、「常に自分は悪い」と思い込む将来も明るくはない。かけがえのない自分を守るためには、生身の姿を冷静に見すえることに尽きるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング