「常に自分が悪い」が招く結末とは吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時01分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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職場のピエロにされる可能性

 自分に明らかに問題がある場合は、素直に非を認め、直ちに改めるべきである。だが、その時も、必要以上に「自分はダメなんだ」と自虐的にとらえないほうがいい。

 自虐的にとらえる人は、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人に、ピエロにされる可能性がある。ピエロとは、みんなの前で茶化されたり、ほかの社員のミスの尻拭い的な仕事をさせられたりと、いいように使われることを意味する。つまりは、いじめを受けているのだ。

 私が観察していると、自虐的にとらえる人は耐えて、その苦境を抜け出そうとする。その考え方は理解できなくもない。だが、自らの意思を表明しないと、状況を抜け出すことはできないだろう。

 意思を伝えるとなると、自虐的にとらえる人は一転して、相手に「おい、お前」などと感情的な対応をすることがある。中には、キレてしまうことすらある。これでは、一段とピエロのような扱いを受ける。

 人間関係の処理が下手で、コミュニケーションが不器用だから、普通に人と接することができないのだろう。極端な自虐か、極端な自己主張のどちらかになりがちなのだ。双方とも自分の姿が見えていないのだろう。

 こういう状況から抜け出す、私なりのアドバイスはまずは意思を相手に伝えること。例えば、「ピエロにされて不快だ」という具合に。ただし、冷静に伝えたい。最初はうまく言えなくてもいい。言っても効果がないこともある。それでも、伝えよう。その繰り返しで、心の中で成功体験、つまり、「自分はここまで言えた」と思えるようになる。

 そこまでたどり着ければ、大丈夫だ。その後も、冷静に自分の意思を伝え続けたい。そうすれば、ピエロのような扱いを受けなくなる。このようになると、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人は近寄ってこない。

 「『常に自分は正しく、相手が悪い』が招く結末」は、みじめなものだ。一方で、「常に自分は悪い」と思い込む将来も明るくはない。かけがえのない自分を守るためには、生身の姿を冷静に見すえることに尽きるのではないだろうか。

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