1ドル=○○円――為替レート、読み方のツボ南はるなのFXのヒミツ(1/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

著者プロフィール:南はるな

株式会社マネックスFXでマーケティング部長を務める。アパレル業界でファッションを学んだ後、しばしの海外生活中に利用したインターネットの利便性に衝撃を受け、帰国後の2001年にアマゾンジャパン株式会社に入社。カスタマーサービス部門を経て、マーケティング部に異動。アフィリエイト・プログラムの運営など、オンラインマーケティング業務に従事。2009年にマネックスFXに入社、同年10月より現職。主にマーケティング企画やPRを担当。金融初心者である自身の経験を踏まえ、初めて投資を検討する人にも分かりやすい情報提供を行うべく、日々奮闘中。


 10回にわたってFXや為替一般に関する基礎知識をご案内してきたこの連載も、今回で最終回となりました。為替に限ったことではありませんが、ニュースや新聞などでよく取り上げられる話題は、聞き手がある程度の基礎知識を持っていることを前提として語られています。短い報道の中で専門用語や背景の細かな解説をしていられない事情はもっともですが、聞いても意味が理解できないのではせっかくの時間が無駄に。世界の政治や経済と関係が深い為替については、基本的な仕組みを少し知っておくだけでもニュースの理解度が格段に上がり、ひとつの事象がどういう結果につながるのか想像できるようになるのではないでしょうか。

為替レートの読み方のツボ

 「外国為替相場の値動きは、前日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場は1ドル=76円30銭から35銭で終了しました」――。

 これの意味するところは、前日のニューヨーククローズ時点(東部時間17時)でのドルの買いレートは1ドル76円35銭で、売りレートは76円30銭ということ。しかし基本的な知識がなければ「昨日のドルは76円30銭から35銭の間で変動している」などと間違った受け取り方をしてしまうかもしれません。

 為替市場には、株式でいうところの「証券取引所」のように物理的な市場は存在しません。銀行や金融機関が参加するインターバンク市場(銀行間取引市場)を介して、世界中の銀行、証券会社、FX会社(外国為替証拠金取引業者)などが直接取引できるようになっています。また、個人もFX会社などを通じて取引を行うことができます。

 このように、決まった市場で取引せずに、売買する当事者同士で行う取引のことを相対(あいたい)取引といいます。相対取引では当事者同士が合意すれば取引が成立するので、為替レートには定価というものはありません。一般に新聞やニュースなどで報道されているレートはインターバンク、銀行間の取引レートですが、みなさんが外貨を両替する場合やFX取引をされる場合には、利用する業者によってレートが異なります。例えば野菜を買う場合にお店によって値段が違うのと同じ。ただし、買ったあとに消費してしまう野菜と違い、為替は売買の両方を行うため、売る場合と買う場合で2つのレート(価格)が存在します。

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