1ドル=○○円――為替レート、読み方のツボ南はるなのFXのヒミツ(2/3 ページ)

» 2011年10月07日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

 先ほどの例では、ドルの買いレートは1ドル76円35銭で、売りレートは76円30銭でしたので、その差は5銭。この差額部分は「スプレッド」と呼ばれていて、レート提供側の手数料に相当します。

 FX取引で利益を上げようとする場合、「安く買って、高く売る」または「高く売って、安く買い戻す」。なのでレートが動かない状態では利益が出ません。例えば、スプレッド5銭として76円35銭で買った時、売るときに利益が出るのは、売りレートが5銭以上値上がりしたとき。それ以下で売ると損をすることに。よって、スプレッドは狭ければ狭いほど顧客にとって有利になりますし、広ければそれだけ不利ということになります。

 刻一刻と状況が変化する為替市場では取引レートはめまぐるしく変化しています。相場が安定している場合、レートの提供側は自分の取り分を狭めても顧客の取引を促そうとスプレッドを狭くしがちですが、急変時など為替変動のリスクが大きい場合には、スプレッドを広げて自らの損益を限定しようとする傾向にあります。

為替レートをコントロールしているのは誰?

 現在の為替相場の仕組みは「変動相場制」と呼ばれています。レートが変動するのは、今ではいたって当然のことのように感じられますが、米ドルが基軸通貨として為替市場の中心となった当初、第2次世界大戦後の国際経済は固定相場制が採用されていました。1944年に国際復興開発銀行(IBRD)と国際通貨基金(IMF)が設立され、自由貿易や資本移動の促進を目的に金1オンス=35ドルと定め、ドルはいつでも金と交換可能としました。なお、当時の米ドル/円のレートは1ドル=360円でしたから、いまの状況からはちょっと想像がつきませんね。

 固定相場制は、当時の国際経済で圧倒的に強い力を持っていた米国によって支えられていましたが、米国の国際収支が赤字になり、ドルが大量に流出したことから終えんを迎えました。1973年には主要国のほとんどが変動相場制へと移行して、現在に至っていますが、中国など一部の国では固定相場制(中国の場合、正確には通貨バスケット制)を維持している国も存在します。

 外国為替取引とは2つの通貨を交換することですので、簡単に言えば、交換比率(為替レート)は2つの通貨の「需給のバランス」で決まります。教科書的な説明では、経済状態や貿易など、国力が強い国の通貨がより強いことになりますが、現在の外国為替取引の大部分が投機目的の取引であることを考えると、それだけでは説明のつかない相場の動きがありますね。為替レートが変動すれば、それはすなわち貿易や経済に大きな影響を与えるので、どの国でも自国に有利になるように誘導したいと考えます。そこで、自国通貨に対して為替政策を実施し、為替レートをコントロールしようするのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.